研究課題/領域番号 |
22K13679
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 学習院大学 (2023) 目白大学 (2022) |
研究代表者 |
阿久津 美紀 学習院大学, 文学部, 所員 (50823449)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アーカイブズ学 / 記録管理 / 個人情報保護 / 特別養子縁組 / 出自を知る権利 / 子どもの権利 / 社会的養育 / アーカイブズ / 国際養子縁組 / ケースファイル / 情報開示 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、増加する児童虐待などにより、生みの親と離れ、養育される子どもにとって、特別養子縁組は新たな選択肢の一つとして考えられるようになってきた。児童福祉法では、子どもが利の主体であることを強調しているが、日本で生まれ、国内外でこれまで養子縁組をされてきた子どもの出自を知る権利を保障するための記録管理体制は未だ整備が不十分である。本研究では、養子縁組の当事者(養子、生みの親、養親)に関する記録とその記録管理体制に焦点をあて、国内に現存する養子縁組記録の所在と保管、記録の利用の状況を分析し、増加する特別養子縁組の子どもの知る権利を支える記録管理体制の在り方を検討する。
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研究実績の概要 |
研究課題の2年目にあたる今年度は、前年度に引き続き日本における特別養子縁組の記録の管理と開示について、養子縁組斡旋団体の協力の下で、実態調査を行うとともに、アメリカにおいて日本からの国際養子縁組に関する記録の管理と利用について調査を行った。 日本における特別養子縁組制度は1987年の民法改正により導入されたが、昨年度までの調査により、戦後以降様々な民間斡旋団体を通じて海外の家庭に子どもを養子として送り出す事例が確認された。International Social Service America(以下、ISSアメリカ)というアメリカの民間団体は、アメリカの養子縁組の斡旋団体の一つであり、日本以外にも多くの国の子どもたちをアメリカで養子縁組するための支援をしている団体である。ISSアメリカでは、養子縁組の斡旋に関する記録をミネソタ大学の図書館内にあるSocial Welfare History Archivesに寄託して管理しており、今年度は現地調査を行い、日本から国際養子縁組としてアメリカで養子縁組された子どもの記録を収集し、分析を行った。今回収集した資料は1960年代を中心としており、記録に含まれる養子の多くは存命のため、個人情報保護を考慮しながらの記録の利用と分析を行った。 また、日本においては養子縁組に関する記録の管理や提供を当事者である養子にどのように行うべきかという支援体制も検討するために、日本国際社会事業団の協力を得て、養子縁組記録のデジタル化を行うとともに養子以外の第三者情報をどの情報までマスキング(黒塗り)していくか検討を行った。特別養子縁組のケース記録は、含まれる情報が統一的ではなくセンシティブ情報も多いため、ある程度の開示に対する指針は確立しつつあるものの、次年度以降もケース記録を読み込み、指針を更に明確化させることが必要であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していたオーストラリアの養子縁組記録の管理と利用に関する調査は実施できなかったが、アメリカのミネソタ大学のSocial Welfare History Archivesにおいて、International Social Service America(以下、ISSアメリカ)の寄託された日本からの国際養子縁組に関する記録の管理と公開に際しての個人情報の扱いについて調査を実施することができ、概ね順調に進展している。また国内での特別養子縁組の記録管理のデジタル化プロジェクトも順調に進んでおり、その過程で行った文献調査などの成果については、今年度刊行された『児童養護』(全国児童養護施設協議会)の連載により公表している。
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今後の研究の推進方策 |
特別養子縁組の記録管理を研究する過程で、養子である当事者の記録の利用を前提としてきたが、そのための情報が容易に得られない現状があることがこれまでの調査を通じて明らかになった。記録へのアクセスをするためには海外の養子縁組の当事者団体や養子縁組記録を管理する斡旋団体が作成しているガイドが日本でも必要であると考えている。そのため今後の研究としては、海外や国内での養子縁組記録の利用を促進するために既に刊行されているガイドやプロセスを分析し、当事者が理解し、活用しやすいガイドを作成することが求められる。今後はオーストラリアやイギリスをはじめとする当事者団体が記録へのアクセス支援を行っている国の記録管理を調査するとともに、その成果を日本で作成する特別養子縁組記録の利用に関するガイドの作成に還元していく。
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