研究課題/領域番号 |
22K13687
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
花園 隼人 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60816495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 数学教育 / 算数教育 / 美しさ / 教育課程 / カリキュラム / 教科内容 / 教科書 / 数学教育学 / 数学の美 |
研究開始時の研究の概要 |
数学研究ではその方法や成果の美しさがしばしば評価される一方で,初等中等教育段階の学校数学にはその美しさが十分に反映されていない。本研究ではこれまで,具体的な数学的対象に対する学習者による美の感得過程の観察を通して,その感得過程で活用することが期待される「相似」や「一意対応」などの数学的内容が十分に機能しておらず,その一因がカリキュラムにあるという示唆を得てきた。 本研究では,学習者による数学的対象の美の感得を軸とした算数・数学科カリキュラムの構成原理を明らかにするために,数学の美の感得過程で用いられる数学的内容に着目し,教科内容に対する理論的研究と授業への参与観察を中心とする質的研究を展開する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,数学の美の感得過程で用いられる数学的内容に着目し,学習者による数学的対象の美の感得を軸とした算数・数学科カリキュラムの構成原理を明らかにすることである。特に,これまでの研究で学習者による活用が不十分であることが確認されている,(i)「相似」と「比例」,(ii)「一意対応」,(iii)「推論の特性」という数学的内容に焦点化した具体的な研究を展開する。 令和4年度は,これら三つの数学的内容について,学習指導要領とその解説,及び,検定を受けた教科用図書(新課程のもの)を本研究の理論的枠組みを用いて分析することをとおして,これら数学的内容の「意図されたカリキュラム」上の位置付けを明確にするための考察を行なった。その結果,これら三つの数学的内容は,他の数学的内容の学習に伴って,それ自体が明示的ではない場合も含めて,多様な学年や領域に位置づいていることが確認された。本研究におけるこれら三つの数学的内容に代表される関係概念は,数学的対象の美を感得する際に不可欠な着眼点として機能することが期待されているものである。加えて,この着眼を,学習者が教師などの介入なしに行うことを望ましいとしている。以上の分析結果からは,教科内容としては三つの数学的内容が多様な学年や領域に散りばめられ,着眼点として位置付けられているにもかかわらず,実際の学習指導においては十分に生かされていないことが示唆される。したがって,これらの数学的内容が明示的には扱われていないことが想定される学習場面においてもこれらを顕在化して学習者に意識化させることや,教科内容・領域にまたがって関連づけるような指導を行うことによって,学習者がこれらの数学的内容を「多様な数学的対象を考察する際に用いることができる着眼点」として用いることができるようになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた分析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,令和4年度の分析結果を踏まえて,小学校・中学校・高等学校の授業への参与観察及び学習者へのインタビュー調査を実施する。焦点を当てている数学的内容の授業における実際の扱いと,その扱いに対する学習者の認識を捉え,改めて「意図されたカリキュラム」上の位置付けとの対比を行う。なお,この実証的な考察には協力校との日程調整が必要になるため,複数年にまたがって実施する。
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