研究課題/領域番号 |
22K13710
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
齊藤 理砂子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (90634907)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | チームとしての学校 / 協働 / 教諭 / 養護教諭 / 促進要因 / 相互理解 / 包摂 / 回帰分析 / 尺度開発 |
研究開始時の研究の概要 |
多様化、複雑化する子どもの課題に対応するには、様々な職種による協働が欠かせない。学校においても、各職種が互いの専門性を発揮しながら、課題を解決していく協働が求められているが、必ずしも円滑に進んでいないとされる。 そこで本研究では、「学校における協働」を教育学の観点から定義し直し、概念整理を行った上で、それを測定する尺度を開発し、学校における多職種間の協働の実態を調査する。そして、その結果を分析することにより、協働を促進・阻害する要因を明確化し、もって学校における協働の促進に向けた提言を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、養護教諭と教諭の協働のあり方を明示した上で、それを促進・阻害する要因を明確にし、もって学校における協働の促進に役立てることである。そのために2022年度は、全国の公立小中学校・高等学校の養護教諭3570名を対象として前年度に実施した、筆者作成の協働尺度等を問う質問票調査の結果(回収率27.2%)に対し、分析及び考察を行った。 回答に対し因子分析した結果、協働尺度については「仲間意識」「信頼関係」「共通理解」「養護教諭の協働意欲」「組織的取り組み」「互いの積極的関与」「教諭の健康教育への関心・意欲」「養護教諭の授業参画」「教諭の保健管理への関心・意欲」「保健室不在時の対応」の10因子構造が確認された。そして尺度全体を従属変数、協働を促進・阻害すると仮定した要因を独立変数とした重回帰分析を行ったところ、「協働」に有意な正の影響を与えていたのは「養護教諭数」「保健活動ができる児童生徒数」「保健教育」「個別対応」「相互理解」「管理職の仕切り」「職務の専念」「職員室に行く頻度」「職員室の包摂的な雰囲気」であった。 これにより、養護教諭と教諭の協働を促進するには、養護教諭の複数配置を進め、養護教諭とともに保健活動ができる児童生徒を増やし、養護教諭が保健教育を行う機会を増やすことが有効と考えられる。また、教諭が養護教諭と協働して個別対応を実践し、養護教諭、教諭双方が互いの職務等への理解を深め、管理職が適切に協働を管理し、養護教諭が自らの職務に専念できる環境を整え、養護教諭が職員室に行く頻度を増やし、養護教諭を受け入れる包摂的な職員室の雰囲気を醸成することも有効と考えられる。 本研究の意義は、曖昧であった養護教諭と教諭の協働のあり方を定義し、さらにそれを促進する要因を発見した点にある。これによって両者間の協働、ひいてはチーム学校の体制整備等の促進が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、学校における協働に関する概念を整理するために、管理職および教諭らにインタビュー調査を行い、教諭および養護教諭の両者の観点を取り入れた協働の概念整理を行う予定であった。しかし、養護教諭を対象とした質問票調査の分析に時間を要したため、研究の進行がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今回の分析で得られた協働の促進・阻害要因を盛り込んだ、協働の因果関係モデルに対し、共分散構造分析を用いて検証する予定である。 さらに、管理職及び教諭を対象として「学校における協働」についてインタビュー調査を行った上で、今回の結果や文献調査も交えて、「学校における協働」に関する概念の整理を行い、教育学的観点を取り入れた「協働」を定義し、より包括的な協働測定尺度を開発する。 その傍ら、これらの調査結果を踏まえ、管理職及び教諭の観点を取り入れた、協働を促進・阻害する要因をリストアップする。最終目標として、開発した協働測定尺度を用いて、小中学校・高等学校に勤務する教諭及び養護教諭を対象に質問票調査を実施し、リストアップした協働の促進・阻害要因を検証する予定である。
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