研究課題/領域番号 |
22K13716
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
澁谷 友和 奈良学園大学, 人間教育学部, 准教授 (60909729)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | インパクトダイナミクス / 社会変化仮説 / 未来洞察 / 望ましい未来 / 予測困難な社会 / 未来デザイン / 社会科教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,初等社会科において,未来社会を切り拓くための資質・能力を育成する未来探究学習プログラムを作成,実施,分析,評価することである。 児童の未来をデザインする力を引き出すために,自分の希望の未来社会について価値判断・意思決定し,希望の未来のシナリオを描く授業モデルを示す。また,社会科を学習するすべての学年で実施できるようにプログラム化することにより,系統的な学習が可能になり,より多くの児童が自己肯定感を高め,未来への明るい希望を持ち,よりよく生きようとする動機を高めることが可能かどうかの検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は,我が国の子どもの自己肯定感の低さ,未来に対して明るい希望が持てていないという現状に対し,初等社会科において,未来をデザインする力の形成を通して,社会の形成者として,子どもたちの未来社会を切り拓くための資質・能力を育成するための未来探究型の授業プログラムおよび具体的な授業の開発・実施・分析・評価することを目的としている。 令和4年度は,授業プログラムに位置付ける授業構成について検討を行った。予測困難な時代における未来のとらえ方として注目されている未来洞察のアプローチ方法,その中でもインパクトダイナミクスの手法(鷲田2016)に着目し,子どもたちの未来をデザインする力の育成をめざし,未来シナリオの作成を組み込んだ授業構成を提案した。 具体的な実践事例として,第6学年社会科単元「未来の防災アプリ機能(東大阪市版)を提案しよう」を例に,インパクトダイナミクスの手法を取り入れた未来洞察型の授業開発および実践を通して有効性の検討を行った.本実践では,災害時における情報難民の存在と,スマートフォンで情報を取得する社会に着目し,「詳しい情報が発信されているのに,なぜ情報難民が発生するのだろうか.」という社会問題の解決に向けて,未来の防災アプリの機能を考え,未来シナリオを作成し伝える内容にした。 インパクトダイナミクスでは,演繹推論で描かれた「未来イシュー」すなわち起こる可能性が高い未来予測と,不確実な要素に着目して仮説的に描いた未来「社会変化仮説」を掛け合わせ,未来のアイデアを強制発想する(鷲田・七丈2017)。このような未来をデザインするフレームワークを活用することで,子どもたちが描く望ましい未来が,何をもとに発想されたのか,どのように考えたのかが可視化できるため,汎用性が高いものと考えられる。インパクトダイナミクスを援用した初等社会科の授業構成を提案できたのは成果だと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症や自身の体調不良もあり,2022年度に計画していた台湾での調査ができなかったため,やや遅れているとの判断をした。2023年度に実施していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究では,前年度末に実施した「東京工業大学未来DESIGN機構」訪問で得た研究の示唆を手がかりに,本研究の目的である「未来をデザインする力」を外部人材との交流の中で育成していく方法を探っていく。 具体的には,研究対象地区を東大阪市花園地区と設定し,地域の人々(花園本町商店街,地域の自治会等),学校(6年生児童・教職員),外部組織(市・大学・企業等)の3つのそれぞれの立場の人々が集まり,一体となり,地域の未来社会を考えるワークショップを行い,小学生から地域の大人に至るまで,ありたい未来を考える取り組みを進める授業構成を提案,実践し,その有効性を検証していく。この研究実践に関しては,学校や商店街会長等に依頼済みで,承諾を得ることができている。 このような取り組みは,実際に市単位で実施しているところもある。その一つである千葉県松戸市では,松戸市総合政策部政策推進課が主催となり,市役所職員・市民・大学・企業等の人々が集まり「まつど未来シナリオ会議」を開催しているという事例がある。従って,本研究を進めるにあたり,松戸市への調査を検討している。 また,前年度実施できていなかった台湾での調査研究も行っていく。台湾では,淡江大学の未来学コースの視察を予定している。未来学コースの学習内容に関する情報を収集し,今後の研究の示唆を得たいと考えている。
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