研究課題/領域番号 |
22K13722
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 (2023) 福島大学 (2022) |
研究代表者 |
呉 書雅 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70880219)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 奨学金 / student financial aid / 学生支援 / 選好 / 学習行動 / 就労行動 / メンタルアカウンティング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,大学生の選好に着目し奨学金が学生の学習・就労行動に与える影響を明らかにすること,これにより学生の学習を促進する奨学金制度のあり方の知見を獲得する。実証分析では,行動経済学の観点から学生の選好(心理的要因)について2つの理論仮説を設定し検証する。①期待できる利益が同一だとしても,不確実な利益(学習:就職に左右される)より確実な方(就労:労働契約に基づき確実に履行される)の満足度が高い「リスク選好(回避)」と②周囲からの就労行動への圧力である「社会的選好(同調)」である。これらの仮説を検証することで,学生が学習や就労の経済的効用の規模や入手時期をどのように判断しているかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、大学生の選好に焦点を当て、奨学金が学生の学習・就労行動に与える影響を明らかにし、学生の学習を促進する奨学金制度の在り方を探究することを目的としている。具体的に、本研究では以下の3つの課題に取り組んでいる。(1)理論的枠組の構築(令和4年度)、(2)探索的調査「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に係わる探索的調査」(令和4-5年度)、(3)実証的検証「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に係わる実証的調査」(令和5-6年度)。今年度は、前年度の研究成果(課題1と課題2)を引き継ぎ、予定の通り課題(2)に取り組んだ。特に日本の課題を明らかにするため、国際比較調査を試みた。その結果、以下のことが明らかになった。①学生の経済面だけではなく、選好(メンタルアカウンティング)に着目することで、就労行動に対して効果的に介入し得る可能性が高いこと、②国際比較により、日本では給付型奨学金の支給は最低限のセーフティーネットであり、その金額は最低限に留めるべきであり、その使い道は制限されるべきだと見なされていることが明らかになった。これにより、特に日本の社会的要因も含めた選好(メンタルアカウンティング)に着目することは、高等教育における奨学金政策に重要な示唆を与えることが示された。今年度の研究実績は、研究発表(4件、招待講演2件)および研究論文(4件、査読2件)として公表されている。また、これまでの成果が認められ、台湾国家科学及技術委員会補助人文及社会科学研究海外人才培育計画から「若手研究者育成・学術書籍出版助成」(2023 National Science and Technology Council Taiwanese Overseas Pioneers Grants for Young Scholars)を受賞した。来年度には、課題(3)実証的検証の調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、課題(2)は計画通りに順調に進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は全体的に研究計画に沿って進展しており、来年度には引き続き課題(3)の実証的検証「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に係わる実証的調査」を実施し、その研究成果を公表していく予定である。
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