研究課題/領域番号 |
22K13727
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
蝶 慎一 香川大学, 大学教育基盤センター, 准教授 (50781548)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 占領下沖縄 / 琉球大学 / 学生支援 / ミシガン・ミッション / ミシガン州立大学 / 比較占領教育史 / 戦後沖縄高等教育改革 / 史資料調査 / 大学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後初の高等教育機関として占領下沖縄に創設された琉球大学を事例に、「ミシガン・ミッション」の指導・援助プログラムの分析を通じてどのように学生支援が導入されたのかを明らかにし、その歴史的意義を再検討することを目的とする。その際に、同大学のカリキュラムや大学図書館の実践状況も含めて考察する。これにより、戦後沖縄というグローカルな背景をもつ学生支援の特徴を相対化し、多様性や包括性が一層求められてくるわが国の大学教育の現代的課題にもつながるインプリケーションを導き出す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、米国のミシガン州立大学による「ミシガン・ミッション」という指導・援助プログラムを実証的に検証することで、占領下沖縄の大学、特に、琉球大学における学生支援の導入プロセスとその歴史的意義を再検討することを目的としている。その際に、学生支援のみに分析対象を限定するのではなく、当時の琉球大学における一般教育・専門のカリキュラムや附属図書館の状況を含めて考察する。 当該年度はこれまでも進めてきた先行研究の再整理と史資料調査・発掘等に向けた関連の情報収集を行い、【課題①】「占領下沖縄の高等教育、琉球大学に関する沿革史誌、関連刊行物の渉猟・検討、琉球大学の学生支援に関わる史資料調査」を中心に進捗させた。 具体的には、沖縄(沖縄県公文書館、沖縄県立図書館、琉球大学附属図書館、那覇市立図書館(中央図書館))と東京(国立国会図書館東京本館、同図書館関西館)を中心に、一次史料を収集し、適宜複写することができた。なかでも、国内では沖縄県公文書館で閲覧等が可能な“Michigan State University Archives and Historical Collection”の“University of Ryukyus Project Records”の史料を確認し、琉球大学における学生支援の理念や各取組等に関連する文書を新たに発掘できたことは一定の研究成果と考えている。 また、沖縄県立図書館、那覇市立図書館で調査を行ったところ、米国占領下の琉球大学における学生支援をはじめ、広く学生生活や一般教育や専門学部に係るカリキュラム、教育課程に関わる貴重な史資料、文献等が確認できた。今後も沖縄県公文書館、琉球大学附属図書館、沖縄県立図書館、那覇市立図書館の史資料調査に加え、沖縄大学、沖縄市立図書館も調査先に追加し、継続的に調査を進めて参りたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、当初の研究計画通り、【課題①】「占領下沖縄の高等教育、琉球大学に関する沿革史誌、関連刊行物の渉猟・検討、琉球大学の学生支援に関わる史資料調査」を行うことができた。 ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響が残っており、例えば、公文書館、各大学附属図書館では学外者の入館がきわめて制限されていた状況が続いていた。そのため史資料調査が困難と言わざる得ない時期が続いたことがあったため、史資料調査の時期や方法等を見直すことが余儀なくされた。 他方で、直接沖縄に出向くことができなくても、遠隔複写サービスの利用が行える機関や電子的な史資料を所属大学にいながらインターネット環境で閲覧することが可能な機関もあり、適宜【課題①】を進めることができたと考えいる。したがって、当該区分の評価ができると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度も本研究計画に沿って着実に遂行していく予定である。詳細は、【課題②】「『ミシガン・ミッション』に関わる史資料調査、大学関係者の個人文書の調査・発掘・収集の実施」を予定しており、これには、米国のミシガン州立大学の図書館・アーカイブでの調査が含まれている。個人文書には、琉球大学の創設に多大な協力を行ったハンナ学長の個人文書“John A. Hannah Papers”や、学生支援の顧問として琉球大学に実際に来沖したピアソン(Pierson)氏の個人文書を想定している。 これらは、事前に米国における史資料の所蔵状況について現地の大学附属図書館やアーカイブの公式ウェブサイトより検索システムを通じた予備調査をより丹念に行い、研究成果に結びつけていく予定である。そして、得られた研究成果は、経過報告を含め研究会等での発表や論文等で発表していくことも計画している。
|