研究課題/領域番号 |
22K13736
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中野 泰伺 筑波大学, ヒューマンエンパワーメント推進局, 助教 (60869254)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ADHD / 事象関連電位(ERP) / 興味・関心(interest) / 生理心理学的アプローチ / 実行機能 / 反応制御 / Stop-signal課題 / 事象関連電位 / interest |
研究開始時の研究の概要 |
注意欠如・多動症(ADHD)では、実行機能の機能的制約が指摘されているが、興味・関心や刺激処理のしやすさを考慮することで、ADHD児・者が持つ本来の能力を発揮することにつながる可能性があると考えられる。本研究では、ADHD児・者の興味・関心があるものや刺激処理のしやすいものに注意を向けやすい特性を活かしたアプローチ、すなわちinterest-basedアプローチによる生理心理学的研究を通して、興味・関心や刺激処理のしやすさに基づく指導支援のエビデンスを構築することを目的とする。また、このような枠組みにより、特別支援教育を念頭に置いた指導支援に最適化させた教育的示唆を提供することも目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度は主に①日本特殊教育学会第61回大会における研究発表、②第53回日本臨床神経生理学会学術大会における研究発表、③研究論文の投稿準備を行った ①の発表内容について:課題遂行時の誤反応時を起点とした際に出現するエラー関連陰性電位(Error Related Negativity;ERN)は、課題に対するモチベーションや課題の取り組み結果(誤反応等)に対するモニタリングを反映するとされる(Liotti et al., 2005)。今回は成人を対象としたことが制約として挙げられるが、定型発達児群に対してADHD児群におけるERN振幅値が有意に低下したSenderecka et al.(2012)を支持する結果が得られ、ADHD特性が課題の取り組み結果に対するモニタリングに影響することを示す基礎的知見となる可能性がうかがえた。 ②の発表内容について:Go刺激として用いる刺激種(車・飛行機・電車のイラスト)の違いが、Stop-signal課題遂行時の行動成績や事象関連電位(Event-Related…Potentials;ERP)に及ぼす影響について、Stop刺激を統一して検討した。定型発達成人を対象としたこともあり、呈示刺激の違いによる影響は行動成績ではみられなかった。一方で、呈示刺激の違いはERP動態、とりわけ注意処理資源の配分に対して影響することが確認され、抑制制御はそれ自体が単一な機能を果たしているのではなく、反応の実行と経時的な関係にある可能性が考えられた。 ③について:本研究に関連するデータを分析・考察し、和文としてまとめるとともに、英文誌に投稿するための和文英訳を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の前提となる呈示刺激の特性やそれらの組み合わせに関するデータ分析・考察を進めることができた。また、学会発表を通した専門家との意見交換を通して、論文投稿に向けた課題や改善点等を得ることができた。あわせて、和文英訳を行う等、英文氏に投稿するための準備を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
呈示刺激や刺激に対する興味・関心に関する理論的背景、学会発表等を通して得られた課題や改善点等を踏まえ、基礎的知見として成果報告を行う。また、基礎的知見としてのみならず、得られた結果が発達に偏りのある児童生徒に対してどのように指導支援に還元できるか等の視点から考察を深めることが望まれる。
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