研究課題/領域番号 |
22K13742
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
大島 光代 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 教授 (00639164)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 特殊音節 / 拗音・拗長音 / 読みの促進 / 木育・遊び / 保護者(親)の意識 / 読み困難 / 音韻障害 / ワーキングメモリ / 言語性学習障害 / 幼小接続期 / 応用行動分析学 / 文字認知 / ひらがなパズル改訂版 / 絵本教材 / 早期発見 / 前駆症状 / 言語指導プログラム / 保育者研修システム |
研究開始時の研究の概要 |
言語性学習障害の中核を成す障害は、発達性読み書き障害(ディスレクシア)である。わが国では、早期発見・早期支援の具体的な方策が確立されておらず、音韻障害が要因と言われる発達性読み書き障害の前駆症状についての研究も少ない。幼稚園等の幼児教育施設においては「文字指導」は行われないが、文字認知が極端にすすまない幼児については「遊び」や活動を通して意識的に早期の段階での適切な支援や指導実践を可能にすることにより「障害予防」を実現することができる。本研究では、言語環境改善を図るために、聴覚障害児教育のスキルを活用した言語指導プログラム・教材開発を行うと共に保育研修システム構築を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、科研費を使用していない。昨年度開発した教材(発達性読み書き障害児及び軽度知的障害児等「読み書き」に苦手さを感じる幼児児童向けの歌いながら特殊音節の読みを獲得する教材)を聴覚障害児(軽度の知的障害を伴う)を対象に実践し、成果を確認した。聴覚障害児は、聾学校幼稚部在籍時より発音練習を行う際に文字を手掛かりにしながら構音要領を獲得したり、発音誘導に文字を提示し視覚的な補助教材として文字をよく目にしたりしている。そのため、歌に拗音・拗長音を組み込み、クイズ形式で提示された文字を読む「遊び教材」は、小学部特別支援学級在籍の児童にはマッチしていた。教材活用によって、拗音・拗長音の読みは、「全く読めない」から「全て読める」状態に改善した。 また、発達性読み書き障害の「読めない」困難性は、音韻障害に加えて読みの自動化を司る脳機能の問題、さらにワーキングメモリの問題が関与しているという知見(日本LD学会2023)を得た。ワーキングメモリの力を育む教材開発を目指した取組を行うため、幼児期(特に幼小接続期にあたる年長児期)に注目した。非認知能力の一つである自己肯定感や自己有能感を育むことで、認知能力の一つであるワーキングメモリの力が向上するという仮説のもと、「木育・遊び」プログラムの開発準備を行った。 「木育・遊び」プログラムは、自然環境の中で、木の枝などの木材を加工し遊び道具として活用しながら、家族と一緒に木育をベースとする遊びをつくるプログラムである。身近な家族が子どもの取組の様子から「集中する力」「目的を達成するまでやり抜く力」を認めることによって、保護者(親)の子どもへの意識変容と子ども自身の自己認識の変容を目指す。このプログラムの構築及び成果の確認によって、幼児教育施設で実践可能な「木育・遊び」保育を提案したい。フィールドは、瀬戸市「海上の森」センターを活用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
私的な事情(家庭の事情・両親の介護)により、研究に費やす時間が制限される状況が続き、自分なりに努力はしているものの、十分に進めることができたとは言えない状態である。 言語指導プログラム及び教材の開発については、昨年度開発した教材の活用・有効性の確認を実施。さらに、ワーキングメモリが「読み」の力に関連していることに注目し、ワーキングメモリの力を育む教材や遊び等の開発に向けての研究をすすめている。 保育者向けの研修システムの構築に関しては、日本LD学会の自主シンポジウムで発信した際に、H県のある市教育委員の方から、研修の問い合わせがあった(2023年11月)。研修の具体的な内容等をまとめたが、予算がつかず実施には至っていない。 教材開発と検証をすすめながら、今後は、保育者向け研修システムの具体的な内容に教材使用を組み込む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、「木育・遊び」プログラムの開発を目指す実践計画を既に作成し、系列の幼稚園で対象となる家族10組を募集する段取りを整えた。この実践研究によって、ワーキングメモリの力を育む教材や遊びを明らかにすること、また家族のかかわりや家族(特に親)の意識が自己肯定感などの非認知能力の育成に影響すること、ワーキングメモリと自己肯定感との相関性などを追及したいと考える。 音韻障害の前駆症状を明らかにするための実態調査は、今年度取り組む予定である。 さらに、言語指導プログラムの改編についても取り組んでいく。このプログラムの教材運用については、少しでも今年度内(春季休業中)実施できればと考えている。
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