研究課題/領域番号 |
22K13762
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
宮田 真宏 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (70858026)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 人工知能の教育的応用 / 授業の振り返り / 教育の質 / 行動計測システムの開発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,教育学にて重要視されている「教育の質」の中でも,教育現場での日々の授業や活動の「振り返りの質」に着目し,その評価の人工知能(AI)技術による支援を目指す.具体的には,授業中の子ども達の映像からAI技術により集団活動の内容や,個々の子どもの成長に関連する行動要素を抽出・分析し,その結果を教員にフィードバックして成長との関係を検証する事によりその有用性を評価する.これを縦断的に継続することで,振り返りに必要な行動要素の抽出とその質の評価指標をデータに基づき抽出し,より幅広い教員のエビデンスに基づく支援の可能性を検討する.
|
研究実績の概要 |
(1)教室という広域空間を対象とする計測を実現するために新行動計測システムを試作した.ここでは,PoEで動作するカラー画像と視差画像を同時に撮像できるカメラを用いた.さらにこのカメラを複数台で同期させ,1台のPCでの記録を実現した.これにより,従来の行動計測システムよりも安価かつ簡易的に従来の計測システムと同様レベルでの授業記録ができることを確認した. (2)開発した行動計測システムを用いて秋学期に現場の教員と連絡して授業内容を調整して,実際の授業の記録を実施した.そして,記録された映像の中でも教員が子どもたちに講義をしている場面に対して機械学習手法を用いることで授業参加の推定の可能性を示唆する結果を得た.一方で,教員が授業中に子どもたちに求める行動は授業活動毎に異なっていた.そのため,子どもたちの成長に関する情報を自動分析する為には,現在が授業全体におけるどのような内容の活動をしている場面かを事前に知る必要があることが分かった.そこで成長変数を推定する前に,先に授業中の場面の自動分類に取り組むこととした. (3)本研究で使用するような行動計測システムの適用範囲は本研究で対象としている初等教育に限らず,中等教育以降でも同様に計測と分析できる可能性がある.そのため,授業の計測は付属の中学校と他大学についても同様に実施した.初等教育以降の教育機関を対象とした分析においてもこれまでに得られてきた生徒たちの分析手法が適用できることを確認した一方で,その解釈の初等教育との同一性については今後の課題とする.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動計測システムの試作を早く始めることができたため,予定通り授業映像を記録することができた.計測手法が変更になったことに伴い分析システムについても再開発が必要となったが,これまでのノウハウがあったために短時間で開発することができた.そして,記録映像から個々の子どもの授業への参加状態が推定できることを示唆する結果が得られたという一連の流れについては評価できると考える.さらに,記録映像中の特徴を分析することにより,授業中の場面の分類の可能性が得られた点についても評価できる. 一方で,試作した行動計測システムの精度については向上の余地があると考えられるため,この点については今後の課題とする.
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究で,開発した行動計測システムを用いることで,子どもたちの行動がある程度推定できることが示唆されたため,今後は授業を担当した教員と連携し,まずは授業場面を推定し,その後に子どもたちの成長に関する行動特徴の推定を試みる.そして,行動計測システムを用いることにより得られた結果を授業担当の教員にフィードバックすることで,その有用性についての評価を試みる. さらには本研究手法が縦断的に適用できるかについての検証を行うために,初等教育以降においての計測も継続し,分析手法を適用することでその効果についても検証する.
|