研究課題/領域番号 |
22K13774
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
東 章弘 福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 教授 (50546257)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ストロボ画像 / フィードバック / 体育授業 / デジタイジング / 体育 |
研究開始時の研究の概要 |
タブレット型端末等は連続的に一枚の画像に残像として描写される「ストロボ画像」の作成を可能とし,その画像から特定の位置マーカーを座標化(デジタイジング)して簡便に速度や角度などの物理変数を導くことができる.この独創的手法によって学習者自らが数量化データとして動作をフィードバックできるようになるため,自己の動作の特徴を客観的に理解し,論理的思考に基づいて改善課題を発見することが可能となる.これにより,動きの改善を図る主体的探究や協働的探究などのアクティブラーニングが促されるとともに,「考える体育」によって運動技術を向上させ,且つ,創造性を育むICT活用を促進する波及効果が期待される.
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研究実績の概要 |
前年に成果報告されたストロボ画像の体育授業での活用に関する研究では(Azuma & Matsui, 2023),ハードル走のパフォーマンスを改善する作用が確認され,ストロボ画像が合理的な練習課題を見出し,その練習によってパフォーマンスが改善された可能性を示した.ハードル走の動きはスピードを主体として構成され,スタートからゴールまでの水平移動に対してネガティブな要因となる上下動を少なくする練習の視点がストロボ画像により導かれたと考えられた.本年は,別の視点としてスピードとともに大きなパワーの発揮が求められるクローズドスキル型種目として走幅跳に着目し,ストロボ画像が授業受講者に与える効果を検討した.Azuma & Matsui (2023)でターゲットとしたハードル走とは異なり,助走,踏切,空中動作,および,着地といった一連の局面のつながりがストロボ画像によってどのようなインパクトを受講者に与えるのかをそのフィードバックによって自ら設定した課題による練習前後のパフォーマンス(跳躍距離)の変化を調べた(実験群).統制群として,(Azuma & Matsui (2023)の研究と同様に)グループによって互いに動作を観察し合って練習すべき課題を対象者に伝えることをフィードバックとするグループ(群)を設定した.その結果,実験群では有意なパフォーマンスの改善が認められた.被検者の内省から,ストロボ画像によるフィードバックでは,動きそのものよりも下肢や上肢が発揮する力といった(kinematicsでない)kineticsに主眼が置かれた練習課題が導かれ,それによってパフォーマンスが改善した可能性が示唆された.この研究成果は国際学会で発表し,その後,成文論文としても国際誌に投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なる運動種目におけるストロボ画像のフィードバック効果が体育授業において観察されてきた.また,ストロボ画像は,体育授業の受講者に対し,運動種目によって異質の内省を導くこともうかがえた.すなわち,ストロボ画像中の残像は,一連の動きのつながりのを運動の特性に応じて効果的に認識させるといった可能性が示唆された.このように,異なる運動種目におけるストロボ画像フィードバック効果の検証が着実に進められ,国際的な発表の機会に供するなど研究成果は前進している.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2つの実験研究ではクローズドスキル型スポーツをターゲットとしながらも,スピードを主体としたハードル走,スピードとともに大きなパワー発揮を伴う走幅跳といった異質の運動種目(陸上競技種目)に対するストロボ画像フィードバックの効果を明らかにしてきた.今後は,オープンスキル型スポーツにおける特定の動作についてもストロボ画像フィードバックが体育授業の受講者に対して与える影響を被検者の内省やパフォーマンスの変化から検証していく.
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