研究課題/領域番号 |
22K13777
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小倉 拓郎 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50906154)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 地形プロセス / 3Dプリント / 高精細地形情報 / RTK-UAV / 地理教育 / STEAM教育 / サイエンスコミュニケーション / 自然環境 |
研究開始時の研究の概要 |
防災教育を通して,土石流等の自然災害の発生現象を想像し,正しい防災行動を起こすことが必要である.そのためには,地形変化の仕組みや過程(地形プロセス)を正しく理解することが不可欠である.しかし,防災教育の一端を担う地理教育において,地形プロセスの学習が制約されていること,教材作成が難しいことから,本研究では高頻度・高精細な地形情報を3Dプリンタで印刷し変化を可視化できる教材を整備する.まず,既存の教材との比較から理解・認識の検証を行う.さらに,授業を実践し,学習効果の評価を行う.これにより,防災教育・地理教育において難しい説明を利用せずとも地形プロセスの理解を促進できる新たな学習方法を提案する.
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研究実績の概要 |
2022年度は、1)RTK-UAVおよび安価な3Dプリンタを購入し、研究を進めるための環境整備を実施した。それぞれの運用について、情報収集を行いながら、容易に利用できるための準備を実施した。2)RTK-UAVを用いた地形計測を、河川・海岸・斜面崩壊地・地下文化遺産といったフィールドで実施した(愛知川・佐久良川・高時川・手取川・三陸海岸・山陰海岸・三陸海岸・常磐海岸・田谷の洞窟・北海道厚真町など)。降雨や大規模出水などの大きな地形変化イベントが発生する前後に地形測量を実施した。研究者や河川管理者、地域住民らと協力しながら、基礎科学の側面を有する地形学の研究成果や、サイエンスコミュニケーションを通した河川管理の実務へ使用できる基盤情報を蓄積した。3)計測した三次元データを3Dプリントで印刷した地形模型の試作を行い、高校生(筑波大学公開講座)や地域住民を対象としたワークショップ(西堀榮三郎記念探検の殿堂)を開催した。研究協力者である高校教員や博物館学芸員と議論を重ねながら、地形や地形の動きを理解しやすい教材作成の改善につなげた。4)学校教育で扱われている地理・地学における地形教育の教科書分析を行い、改善点や問題点を指摘したうえで、3Dプリントを利用できる単元を策定した。5)高精細な3次元データに関する国際会議(JpGU)におけるテーマ別セッションのコンビーナをつとめた。これにより、学術的な問題点や実践記録の蓄積について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、根幹となるRTK-UAVおよび3Dプリンタの導入から運用をはじめ、地形学や地球科学教育に関する研究蓄積や研究事例の蓄積を計画通りに進めることができた。これらの研究成果やイベントの様子については、個人ウェブサイトやTwitterなどで広報活動を行い、興味・関心の高い方々からさらに情報を得るなど、研究遂行にとって有益な活動となった。 また、RTK-UAVやレーザ測量で取得した3Dデータをもとに地形や教育に関する論文を2編出版した。国内外の研究協力者との議論も円滑に行えており、特に学校現場や博物館展示における教材整備の方向性についての具体的な方策について検討することができている。現在、地形学や河川工学・地理・地学に関する論文を4編投稿しており、研究成果の公表のために円滑に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もRTK-UAVやレーザ測量を用いた高精細な地形情報の取得について、引き続き河川・海岸・地下文化遺産などを対象にデータを蓄積していく。その上で、まずは研究対象地のステークホルダーとの議論の中で3Dプリントを用いた地形模型を使用し、教材の有用性や悌二方法の改善案について模索する。さらに、データの取得からアウトプットまでの一連の流れをマニュアル化・論文化することを目指し、簡単かつ高い学習効果を得られる地形模型を作成できるプロセスを可視化した上で広く公開することを目指す。
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