研究課題/領域番号 |
22K13790
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 山梨県富士山科学研究所 |
研究代表者 |
三ツ井 聡美 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (10879125)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 火山 / 防災 / 科学コミュニケーション / 観光 / 自然公園 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自然公園を訪れる観光客への火山防災対策に関する科学コミュニケーションの促進に寄与することを目指す。国内の活火山を有する自然公園における火山の防災対策に関する情報発信の現状を整理するとともに、観光客の認識との差異を明らかにすることで、観光客に提示するべき情報の過不足を多角的に検証する。また、富士山を事例地として観光客へ伝える情報の改善案と、新たな情報発信の場の可能性を示すことでより効果的な火山防災対策の情報発信のあり方を提言する。
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研究実績の概要 |
本研究は、活火山を有する自然公園において火山防災対策に関する情報発信の現状を整理するとともに、観光客の認識との差異を明らかにすることで、効果的な防災情報の発信のあり方を提案することを目指している。 研究実施計画に基づき、本年度は観光客向けの火山防災に関する情報発信の現状把握を試みた。具体的には、有珠山(北海道)、御嶽山(長野県)、磐梯山(福島県)、富士山(山梨県)を対象に現地調査および情報発信者らへのヒアリング調査を実施した。火山マイスター制度を導入するなどして、地域内外に向けて火山防災情報の発信に積極的に取り組んでいる地域がある一方で、情報発信が不十分だと思われる地域も見られた。各地の火山防災情報の内容にはある程度の共通性が見受けられたが、情報の発信量には、観光客の利用状況や、現在の火山活動の活発さ、過去の噴火の発生頻度や規模の違いなどが影響していることが示唆された。また、ビッグデータ分析ツールを活用して調査対象地域を訪れた観光客が、情報収集のために検索したキーワードを収集した。これらの調査から火山防災情報として発信されているキーワードと観光客の検索キーワードには大きなギャップがあることが示唆された。 さらに、富士山では登山客を対象に、火山に関する基礎知識や防災に関する意識、登山に関連した情報の入手方法等を把握するためのアンケート調査を実施した。火山防災に関する設問の簡易的な分析の結果、富士山の現在の噴火警戒レベルを正しく認知していた人は1割程度であることが示され、防災情報の周知や理解に課題がある現状が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
火山防災に関する観光客向けの情報発信の現状把握のため、有珠山、御嶽山、磐梯山、富士山を対象に現地調査および情報発信者らへのヒアリング調査を実施した。また、観光客が情報を収集するために使用している検索キーワードの情報収集を行った。これらの調査で収集したデータを用いて、次年度には情報の発信者と受信者の間にある意識のギャップを可視化するデータ解析に着手できると考えている。 富士山でのアンケート調査については、計画当初はコロナの影響で登山客が少なく実施が困難な状況を想定していたが、登山客数がコロナ前の8割程度まで回復したため調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
各地の自然公園における火山防災情報の発信状況に関するヒアリング調査は、次年度も引き続き実施予定である。本年度のヒアリング調査から、情報発信の量や頻度には過去から現在までの火山の活動状況や観光客の利用状況などが影響を与える要因になっている可能性が見出された。次年度に追加で実施するヒアリング調査対象地での事例も踏まえて検証を進める。また、本年度で把握した、観光客が情報を収集するために使用している検索キーワードを活用して、次年度は収集した情報の内容に関するテキストデータの収集をはかり、データ分析に着手したいと考えている。さらに富士山でのアンケート調査の解析を進めるとともに、Webアンケート調査の設計を検討する。
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