研究課題/領域番号 |
22K13794
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
河村 悠太 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (40897071)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 利他行動 / 向社会的行動 / 効果的利他主義 / 評判 |
研究開始時の研究の概要 |
日常の人助けから寄付やボランティアに至るまで,利他行動は様々な場面で我々の社会を支えており,その機序および促進要因を明らかにすることは学術的・社会的に必要である。多くの先行研究は利他行動の量に焦点を当ててきたが,この研究では利他行動の質に焦点を当てる。特に,利他行動の量を促すと示唆されてきた評判が,効果的な利他行動につながる要因として機能するかを調べる。
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研究実績の概要 |
利他行動の関する過去の研究が利他行動の量に注目してきたのに対し,本研究課題では利他行動の質に注目している。前年度の予備的な実験では,質の高い,すなわち効果的な利他行動に対して良い評判が与えられるという関連は見られなかった。その理由の一つとして,そもそも利他行動の効果の認識がどのような心理的プロセスを経て生じるのかがこれまでの研究で明らかになっていないことが挙げられる。そのため,まずその心理的メカニズムを明らかにする必要があると考えられた。そこで,計画を一部修正し,本年度は,利他行動の効果の認識に繋がる要因として,対象への共感が機能するかを調べる研究を実施した。援助対象に対して効果的な利他行動になっているかどうかは,援助対象に対する共感の程度と客観的には独立なものであると考えられる。しかし,主観的には,共感しやすい対象に対する利他行動を,効果的な利他行動だと感じやすい可能性がある。本年度に行った実験では,共感しやすい対象,共感しにくい対象に対する募金広告を作成し,その対象に対する共感度合いや援助の効果の認識,そして援助しようと思う意欲等を尋ね,各変数間の関連を調べた。なお,条件間で,援助の効果に対する客観的な記述は統制していた。実験の結果,対象に対する共感は援助意欲につながり,その関係は援助の効果の認識が媒介していた。すなわち,ある利他行動が効果的かどうかという認識は,客観的な効果の程度だけでなく,援助対象に対して抱いた共感が影響する可能性が示唆された。今後は,そのような認識を調整する要因を明らかにする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は本課題の2年目にあたる。本年度は計画を一部修正して実験を行い,次年度以降の研究に繋がる示唆が得られた。ただし,当初予定していた以上の成果が得られたわけではないため,「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に行った実験から得られた示唆をもとに,どのような条件で人々が効果的な利他行動に対して良い評判を与え,どのようなときに効果的な利他行動を取ろうとするかを明らかにする必要がある。また,この結果について学会で発表を行うとともに,国際学術雑誌への投稿を目指す。
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