研究課題/領域番号 |
22K13813
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
赤松 大輔 京都教育大学, 教育学部, 講師 (60911360)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 失敗観 / 学習方略 / 動機づけ / 計算論モデル / 数理モデル / 計算論モデリング / 経験サンプリング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,生徒の失敗観を「脅威性」と「活用可能性」の2軸から分類する失敗観タイプの発想に基づき,各タイプの中高生の行動面の特徴を明らかにすることである。 研究方法としては,大規模な縦断的調査,経験サンプリング法,オンライン実験を通してデータを収集し,時系列モデルや強化学習モデルといった数理モデルに基づく分析を行う。 上記の多角的な検討を通して,「失敗を恐れず活かせる」生徒の特徴を明らかにし,その成果を広く発信し,失敗観タイプに基づく生徒理解と学習支援のあり方を教育心理学研究と教育現場の双方に導入していくことを試みる。
|
研究実績の概要 |
本研究課題は,失敗に対する学習者の信念である失敗観について,「脅威性の認知」と「活用可能性の認知」の2軸から学習者を分類する失敗観タイプの視点に基づき,各タイプに該当する学習者の行動的特徴を明らかにするものである。2022年度の成果は以下の通りである。 まず,学業場面での失敗や失敗観に関する国内外の先行研究のレビューを行い,失敗観の概念的位置づけについて整理し,本研究で想定する行動的指標との関連の妥当性について確認した。特に,近年注目される「社会性と情動の学習」の観点から失敗観の特徴を論じ,先行研究の課題や今後の研究の方向性について概観した。この成果は,査読付き国際誌へプロポーザルが採択され,2023年度に投稿される予定である。 次に,失敗観の影響を受ける結果変数とであるアカデミックリスクテイキング行動に関する尺度が昨年に発表されたことを受け(Abercrombie et al., 2022),アカデミックリスクテイキング尺度の日本語版尺度作成に着手した。具体的には原著者であるSara Anne Abercrombie氏から日本語版への尺度翻訳の許諾を受け,翻訳作業を行った。英語から日本語への翻訳,バックトランスレーションおよび専門家による妥当性の確認を経て,日本語版尺度の質問項目は概ね完成した。 そして,次年度以降に行う予定である経験サンプリング法を用いた研究に関する予備的検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,先行研究のレビューと,失敗観と学習行動の関係性に関する縦断調査を行う予定であった。縦断的研究の際に,検討する学習行動の指標の1つであるアカデミックリスクテイキング行動については,長らく心理学研究において確立した心理尺度が扱われてこなかったため,一部の先行研究で使用された質問項目をもとに自作する予定であった。しかし,昨年にアカデミックリスクテイキング行動を測定する大学生用尺度が開発された(Abercrombie et al., 2022)。そのため,それを翻訳して用いる方針に本研究の計画を変更した。その結果,2022年度は尺度の翻訳等の作業を行うことになり,その予定変更に伴い,従来の想定であった縦断調査は行わないことになった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,作成したアカデミックリスクテイキング行動の日本語版項目を用いた実証研究を行う。まず,大学生を対象とした妥当性検証を行う。次に,生徒を対象としたバージョンの尺度を作成する。その後,本研究課題の主眼である失敗観との関連を検討する。並行して,失敗観と学習行動の関連に関する経験サンプリング法の予備調査を行う。
|