研究課題/領域番号 |
22K13822
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
下司 忠大 立正大学, 心理学部, 専任講師 (60875219)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 勇気 / 態度安定性 / ポジティブ心理学 / 信頼性 / 妥当性 / 尺度開発 / ダークパーソナリティ / Dark Triad / Dark Tetrad / 強み |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の目的は,反社会的なパーソナリティ特性であると考えられてきたダークパーソナリティ特性のポジティブな特徴・機能を明らかにすることである。研究1ではポジティブ心理学における主要な概念である「強み」との関連を検討することでダークパーソナリティ特性のポジティブな特徴を検討することを計画している。研究2~4ではダークパーソナリティ特性のポジティブな機能について着目し,研究1の結果に基づいて心理的ウェルビーイングおよび職業達成の高さと関連し得るかどうかについて検討を行うことを計画している。
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研究実績の概要 |
本年度はダークパーソナリティ特性のポジティブな側面の解明に資するための尺度開発を行った。具体的には,ダークパーソナリティ特性のポジティブな側面として示唆されていた勇気概念を測定する心理尺度,および,戦略的な柔軟性に関する態度安定性概念を測定する心理尺度をそれぞれ作成した。 勇気概念については,海外において先行研究が蓄積されており,英語版尺度 (Courage Measure) が既に開発されていたため,それを日本語に翻訳した。そしてこれを日本語版勇気尺度と命名し,項目反応理論に基づいて項目分析を行うとともに,信頼性と妥当性の検討を行った。項目反応理論の分析の結果,すべての項目が一定程度の精度を持っていることが明らかにされ,その信頼性係数も十分な値であった。加えて,Big Fiveパーソナリティ特性,楽観性・悲観性,主観的幸福感,レジリエンス,グリットとの関連を検討し,予測どおりの結果が得られたことからその収束的妥当性が確認された。 態度安定性概念についても海外において複数の先行研究が行われており,英語版尺度 (Personal Attitude Stability Scale:PASS) が既に開発されていたため,それを日本語に翻訳した。これを日本語版態度安定性尺度と命名し,信頼性と妥当性の検討を行った。信頼性は再検査信頼性およびα係数にもとづいて検討され,いずれも十分な信頼性係数を示した。妥当性については理論的に関連する既存の尺度とともに消費者ブランドに対する態度も測定して検討が行われ,一定の期間をおいて2回の調査を行った場合に1回目に測定された態度が2回目に測定された態度をより予測するかどうかが検討された。その結果理論通りの結果が確認され,日本語版態度安定性尺度の信頼性および妥当性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題ではダークパーソナリティ特性のポジティブな側面について幅広く検討するために,様々なポジティブ概念を測定することが必要不可欠である。しかし,現在のところダークパーソナリティ特性に関連するポジティブ概念を測定する日本語版の心理尺度は限られており,自らそれらを測定する尺度を開発する必要性が求められた。今年度の研究実績ではそれぞれの尺度開発の成果が学術論文として掲載されており,その点では順調に進行していると考えられる。ただし,ダークパーソナリティ特性との関連については検討されていないという課題が残されたため,総合的に判断して概ね順調に進展しているように思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題として,勇気概念および態度安定性概念とダークパーソナリティ特性との関連性を検討するとともに,さらにポジティブな概念の尺度開発に努める必要がある。具体的には,ダークパーソナリティ特性の中でも自己愛傾向とサイコパシー傾向は勇気概念との関連が示唆され,その媒介変数も含めて検討していくことを企図している。また,態度安定性概念との関連については,マキャベリアニズムやサイコパシー傾向との関連性が考えられ,マキャベリアニズムやサイコパシー傾向の戦略的な側面として態度の(非)安定性がある可能性が考えられる。これらに加えて,海外で既に検討されているmental toughnessなどとの関連も今後検討していく必要がある。
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