研究課題/領域番号 |
22K13825
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
四辻 伸吾 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (50882362)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | いじめ感度 / いじめ被害回避プログラム / いじめ予防・防止アプローチ / いじめ鋭敏性 / いじめ対処志向 / いじめ / いじめ観 / いじめ被害回避スキル |
研究開始時の研究の概要 |
小学生を対象として「いじめを受ける可能性がある児童」が「いじめが起きそうになってもそれをうまく回避できることができる状況」を作ることができるスキルを育成することを目的とした「いじめ観」をふまえた「いじめ被害回避プログラム」を開発する。具体的には,(1)いじめ被害を回避するための基盤となる小学生の「いじめ観」の構成概念を検討する(2)いじめ被害回避スキル」を調査しその構成概念を検討すること(3)「いじめ観」及び「いじめ被害回避スキル」に基づく新たな視点を踏まえた授業実践を開発し,その効果の測定を行うこと(4)「いじめ被害回避プログラム」を教育現場で容易に実践できるテキストを作成する
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研究実績の概要 |
小学生を対象とした「いじめ被害回避プログラム」の開発に向け,以下の3つの視点で研究を進めた。まず第1にいじめ予防・防止アプローチの視点となる「いじめ感度」というものに着目し,「いじめ感度尺度」を作成し,その妥当性と信頼性を確認することができた。「いじめ感度尺度」については,因子分析の結果,「いじめ鋭敏性」と「いじめ対処志向」の2因子があることが明らかとなり,「目の前のいじめに対していかに敏感に察知することができるのか」という視点と,「目の前のいじめに対していかに対処していこうとしているか」という視点があることが示唆された。第2に,上記の「いじめ感度」を高めるための,「いじめ被害回避プログラム」として小学校現場にて活用することができる,いじめ予防・防止アプローチの授業を開発した。これについては,小学校の授業時間45分を1単位時間とし,計3時間にて構成されるカリキュラムを開発した。内容として,「いじめとはどういう行為のことを指すのか」「いじめの状況においてどのような立場があるのか」「いじめに気づくためにはどのような側面に着目したらよいのか」などのことについて,事例などをふまえて,小学生が考えていくことができるというものである。これについて,実施に小学校5年生において授業を行い,その授業前と授業後において「いじめ感度」を測定したところ,授業前に比べて,授業後に有意に「いじめ感度」が高まるという結果が得られた。第3に,この「いじめ感度」について教師がどのように捉えているのかについても調査を行った。小学校教員500名,中学校教員500名を対象として調査を行ったところ,若手教員に比べて,中堅教員やベテラン教員の方が「いじめ感度」が有意に高いことが明らかとなった。これらの知見をふまえて,今後,教員にとって現場で活用しやすく,より効果的な「いじめ被害回避プログラム」を構築していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に予定していたことについては,概ね達成できている。今後は「いじめ被害回避プログラム」の効果について,さらに検証するとともに,「いじめ感度」の関連要因について検討していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度に,本研究の主要な視点である「いじめ感度」について着目し,「いじめ感度尺度」について作成することができた。現段階においては,妥当性・信頼性の検討及びその効果測定を行うことができたが,「いじめ感度」というものに対して,どのような要因が影響しているかということは十分に検証できていない。いじめを予防するためには,「いじめ感度」を高めていくことが必要ではあるが,同時に「いじめ感度」という内的要因だけでなく,どのような行動をしているかという外的側面について検討していくことが必要であろう。また「いじめ感度」にアプローチをするためには,「いじめ感度」にアプローチするだけでなく,「いじめ感度」に関連する他の要因についてアプローチをすることで,結果として「いじめ感度」を高めるとともに,いじめ加害行動を現象させたり,いじめ被害を予防したりということが考えられよう。今後は,このような「いじめ感度」についての関連要因を検討することでよりよい「いじめ予防・防止アプローチ」の在り方について検討していきたいと考える。
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