研究課題/領域番号 |
22K13833
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
馬場 絢子 金沢大学, 保健管理センター, 助教 (60882280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 家族介護 / 家族療法 / 介護者支援 / ケアラー / 家族関係 / セルフケア |
研究開始時の研究の概要 |
介護以前からの家族関係に焦点を当てた介護者支援は寡少であり,個別性の高さから十分な効果検証や普及に至っていない。そこで,本研究では家族療法をベースとしたセルフケアプログラムを作成し,効果研究を行う。 具体的には,まず事例や家族療法家・介護者へのインタビューから,介護者にとって効果的な家族療法の要素を抽出する。これをふまえてプログラムを作成し,精神的健康・生活の質・家族機能を向上させるか明らかにする。この研究により,介護者が介護以前からの要介護者との関係を整理して自らの人生と向き合うプロセスを支えるアプローチの方向性を提示する。
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研究実績の概要 |
今年度は本研究課題全体のベースにあたる研究(研究1)を実施した。この研究の目的は,介護者を対象とする家族療法の有用性・課題を明らかにすることであ る,大きく分けて3つの調査・分析を行なった(研究1-1,研究1-2,研究2)。 1つ目の調査・分析(研究1-1)では,主に支援者の視点からその有用性や課題を示すことを目指し,介護者を対象とした家族療法事例の検討を実施した。具体的には2つの調査・分析を行った。まず行ったのは文献研究であった。認知症の語りのアーカイブを活用し,家族介護者の語りのデータを対象に,介護者支援に焦点を当てた質的分析を行った。結果, 友人・地域・家族会・要介護者を支援する専門職等が介護者にとっても資源になっている様子がうかがえた。現在発表準備中である。 2つ目の調査・分析(研究1-2)は,介護者が家族療法を含む心理援助を受けた体験を描き出すことを目指したものであった。本年は,昨年度介護者・介護経験者を対象に実施したWeb 調査の結果を学会発表し,論文執筆を行なった。引き続き投稿作業中である。加えて,介護者へのインタビュー調査を実施した。インタビューガイドは前述の研究1-1の結果をふまえて作成した。本データは分析継続中である。 3つ目の分析(研究2)は,家族療法に基づく介護者セルフケアプログラムの作成と効果検証を目的とした物であった。本年は,プログラムの一部となる可能性が見込まれた「介護良いこと日記」の質的分析を実施した。この結果,日記を通じて家族関係を含む良いことに気づき,肯定的な捉え直しが起きていることが示唆された。この成果は来年度発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,前年度の進捗の影響に加えて,能登半島地震により臨床の比重が高まった影響も相まって,引き続き計画にやや遅れる形となった。 研究1-1では,予定通り文献研究を実施することができたが,介護者の面接経験をもつ家族療法家へのインタビューは送れる形となった。この背景には,上記の事情に加えてリクルーティングやスケジューリングの難航があり,来年度実施予定である。研究1-2では,家族療法を含む心理援助を受けた経験のある介護者からのデータ収集・分析を予定していたが,リクルーティングが困難であった。そこで,家族に関する困難を経験している,家族に関する支援を受けたことがある介護者に対象を拡大し,インタビューを実施することができた。こうした調整の影響もあり,分析に関しては引き続き実施中である。 一方,来年度以降の遂行を予定していた研究2の一部となる「介護いいこと日記」の質的研究を完了できたのは,想定外の進捗であった。 以上により,本申請課題はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は,以下の2つの研究を実施予定である。 研究1では,引き続き介護者を対象とする家族療法の有用性と課題について明らかにする。具体的には,家族療法を含む心理援助を受けた経験のある介護者から収集したデータ分析を継続する。並行して,介護者の面接経験をもつ家族療法家へのデータ収集・分析を行う。 研究2では,研究1の成果および今年度実施した「介護良いこと日記」の研究をふまえ,家族療法に基づく介護者セルフケアプログラムの作成と効果検証を実施する。特に来年度は,専門家や当事者へのヒアリングを行いながらセルフケアプログラムの試作・ブラッシュアップを行う予定である。
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