研究課題/領域番号 |
22K13838
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
荻島 大凱 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (60909282)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | うつ病 / 内受容感覚 / 心拍誘発電位 / 認知行動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
身体症状を伴ううつ病に対して,臨床心理学的支援の効果はかなり低く,従来は薬物療法による治療が優先されてきました。しかし実際には,身体症状を伴うと最大で86%が抗うつ薬に反応しないとする知見も存在し,身体症状を伴ううつ病に対しては未だ有効な治療法が提言されていません。そこで本研究では,身体症状を伴ううつ病の難治化要因の特定と,有効な治療法の提案を目指します。この目的のために,身体状態の知覚の程度である「内受容感覚知覚」が鈍麻していることが,身体症状およびうつ症状の増悪化要因であると想定し,鈍麻の改善が重要な治療標的になることを検討します。
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研究実績の概要 |
令和4年度は,うつ病傾向と内受容感覚知覚の関係性について検討を進めた。これまでの研究では,うつ病と内受容感覚知覚の間に一貫した関連性が見出せないという問題が指摘されてきた。本研究では,これらの課題に対して二つの観点からアプローチを試みた。一つ目の課題は,「知覚」の測定において,注意とセイリエンスが混同されているという点である。これに対して当該研究では,最近になって方法論が確立された「心拍誘発電位」という脳波指標を用いた。この指標を用いることで,現在感じている内受容感覚の程度に関わらず,感覚への注意の精度のみを測定できることが可能になった。二つ目の課題は,これまでの研究が安静時の知覚のみを対象としていた点である。それに対し当該研究では,感情経験時の内受容感覚知覚に焦点を当て,うつ病の内受容感覚知覚の異常を感情経験の異常の根底にあるものとして理解した。うつ病傾向を有する者に対して,ポジティブ/ネガティブ/アロウザル気分を誘導し,その際の内受容感覚知覚を心拍誘発電位によって測定した。その結果,うつ病傾向が高い者は,ポジティブ感情を経験している時のみ,内受容感覚への注意の精度が低下することが明らかになった。誘導した感情価に対する心拍誘発電位の反応性を分析することから,うつ病と内受容感覚知覚の関係性を定量的に記述することができた。当該研究の知見の基礎的部分は,今年度開催されたNEURO2022において発表され,現在これらの結果をまとめた論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに実験を進めることができ,現在は実験結果をまとめる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,令和4年度の研究結果をもとに,うつ病傾向を有する者に対する介入実験を進める予定である。同時に,令和4年度の研究結果を論文としてまとめ,投稿する予定である。
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