研究課題/領域番号 |
22K13842
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
小林 大介 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 助教 (80910968)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ストーカー被害 / 持続する精神的苦痛 / 身体的影響 / 精神的影響 / 社会的影響 / 経済的影響 / PTSD様症状 / ストーキング / ストーカー / 被害者 / 精神的苦痛 / 心理社会的影響 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国においては,ストーカー行為を止めるための対策が進む一方,ストーカー被害者の精神的苦痛のケアに向けた研究はほとんど行われていない。ストーカーの問題は,加害者の行為を止めれば解決ではない。ストーカー被害の終了後も続く被害者の精神的苦痛を取り除くことが必要である。そこで,本研究では,ストーカー被害により生じる長期的な精神的苦痛の実態の調査,精神的苦痛が長期化する背景要因の検討を実施し,最終的には,ストーカー被害者の精神的な苦痛が長期化するリスクを推定するチェックリストを開発する。これらの取り組みによって,ストーカー行為を止めた先に必要となる被害者への長期的な支援の指針を示すことが期待できる。
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研究実績の概要 |
2023年度までの研究の目的は,過去にストーカー被害を経験した18歳以上39歳以下の男女(現在はストーカー被害が止まっている者)を対象としたWeb調査を実施し,ストーカー被害終了後も持続する精神的苦痛に対して各背景要因がもたらす影響を明らかにすることであった。 ストーカー被害による影響の持続という側面を考慮し,調査対象者の上限年齢を49歳以下に変更した上で,Web調査を実施した。全543名の回答者のうち,回答に不備のある者85名を除外し,457名(男性155名,女性302名)を分析の対象者とした。 全分析対象者457名のうち,ストーカー被害によるPTSD様症状のカットオフポイントを超えた者(PTSD様症状が強く残存する者)は,219名(47.9%)(男性74名,女性145名;平均年齢35.16歳)であった。カットオフポイントを超えた者の中で,加害者からの接近が止まってからの期間の平均値を算出したところ,33.73か月(SD=47.08)で,最も長い者で300ヵ月(25年)であった。このような結果からたとえ加害者からのストーカー被害が止まったとしても,ストーカー被害による長期的な精神的な影響の持続に悩まされる者が一定数いることが明らかとなった。 また,この219名を対象とし,PTSD様症状を従属変数,性別,ストーカー被害の経験,ストーカー被害経験時の身体的影響,精神的影響,社会的影響,経済的影響を独立変数とした重回帰分析を実施した結果,過去のストーカー被害の経験とストーカー被害経験時の精神的影響が有意な正の標準回帰係数を示し,その他の独立変数については有意な影響が見られなかった。 このような点から,ストーカー被害の長期的な精神的苦痛を考える際には,ストーカー被害の経験だけでなく,ストーカー被害時に被害者に生じる精神的影響にも着目することが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査の実施までは計画通りに進行しているが,学会での発表準備,論文の作成について遅れが見られているため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に得られた研究結果について第41回日本家族心理学会にて公表を行う予定である。同時に論文の作成を行い,日本犯罪心理学会誌への投稿を予定している。また,研究Ⅲの調査についても並行して実施予定である。
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