研究課題/領域番号 |
22K13843
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
鈴木 千晴 立命館大学, 総合心理学部, 助教 (90792838)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ロールシャッハ・テスト / 事象関連電位 / bistable perception / 知覚の個人差 |
研究開始時の研究の概要 |
心理的支援の場で広く用いられてきた歴史のあるロールシャッハ・テスト(以下ロ・テスト)だが、「ロ・テストはいかなる知覚的現象であり、なぜ種々の心的性質が反映されるのか」について基礎的知見の蓄積が十分ではない。本研究は、ロ・テスト反応の個人差を生じさせる知覚・認知的過程について明らかにするべく、単純な知覚課題中の事象関連電位をロ・テスト指標によって比較する。特に、ロ・テスト知覚・認知的過程を共有すると考えられる、両義知覚(bistable perception)課題、選択的注意の制御課題、パレイドリア課題を用いて検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、ロールシャッハ・テストにおいて経験される種々の知覚の個人差がどのような認知・知覚的変数の個人差によって生じるのか、またその過程を明らかにすることを目的として、特に早期の知覚・認知的処理をとらえるような認知課題中の事象関連電位とロ・テストの比較を軸とするものであった。 2022年度は、事象関連電位の測定設備の準備を進めるとともに、研究実施者がこれまで最後に行った両義知覚課題の方法を修正し、ロ・テストと比較する実験を行った。以前の実験は、両義図形を二回一組で呈示し、反転して見えた場合にボタン押しをもとめたが、反応に関する神経活動が知覚のものと交絡してしまう恐れがあるという問題点があったため、反転の有無に関わらずボタン押しを求める実験デザインに変更してデータ収集をはじめた。本実験は現在も実施中である。 この実験と並行し、本研究のより大きな目的でもあるロ・テストの臨床的経験知の知覚・認知心理学への架橋に向け、知覚経験や知覚の現象的側面の概念的基礎について、知覚の哲学や現象学をも射程として文献的調査を行った。あいまい刺激に対する知覚現象という点でロ・テストとも類似点がある、両義知覚やパレイドリアといった現象は、知覚・意識の本性を示すものとして知覚の哲学や分析哲学、現象学の観点で言及されることも多い。一方で、ロ・テストがこの文脈で言及されることはこれまでなかった。このような概念的整理・概観を行うことは、認知神経科学などの分野とも知見を接続するための基盤となりうることも明らかとなった。この調査結果は展望論文として現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在行っている、両義知覚課題中の事象関連電位の測定およびロ・テストを含む実験に関して、初年度に一つ分の実験を終了している予定であったが、未だ予定していた参加者分のデータを得られていない。刺激呈示プログラムの作成および脳波測定装置の設定に準備期間が必要だったことに加え、拘束時間の長い本実験は、新型コロナウィルス流行により大学キャンパスに滞在する学生が少ない状況で参加者の募集が思うように進まなかったためであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず現在実施中の、両義知覚課題を用いた実験を終了させ、分析・発表を行う。また、2022年度の文献調査をさらに進め、次に計画する注意制御やオブジェクト認知を行う課題を用いた実験の計画・準備を進める。次の実験を2023年度中に実施しデータ収集を始めることを目指す。
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