研究課題/領域番号 |
22K13855
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 札幌学院大学 |
研究代表者 |
辻 由依 札幌学院大学, 総合研究所, 専門職員 (30893838)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 発達障がい / 大学生 / 自己理解 / 自己理解を深める支援方法 / プログラム作成 / アセスメント / 質問方法の工夫 / 自己権利擁護 / 大学における支援方法の構築 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,発達障がい学生の自己理解を促進させるために必要な要因について明らかにし,発達障がい学生の自己理解を促進させる具体的な方法を構築することを目的とする。 大学生の中には診断の有無に関わらず,発達障がいの特徴を強く有している学生が多数存在しその数も増加傾向である。しかし,修学・就労において,発達障がい傾向を有する学生の自己理解が不十分なため,必要なサポートを求めることができないといった問題が生じている。本研究によって,発達障がい学生の自己理解を促進させる要因が整理され,具体的な支援方法が確立されることにって,発達障がい学生の特性に応じたサポートを提供する体制を構築することが期待される。
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研究実績の概要 |
大学生の中には診断の有無に関わらず,発達障がいの特性を有している学生(以下,発達障がい学生)が多数存在し,その数も増加傾向である。しかし,発達障がい学生は自己理解が不十分なため,修学・就職活動において必要なサポートを求めることができないといった問題が生じている。 2023年度は,2022年度に整理した①アセスメントポイント,②アセスメント時の工夫,③発達障がい学生の自己理解を深めるための支援者の関わり方や工夫,の3点を元に,発達障がい学生の自己理解を深めるためのプログラムを作成することを目的とした。具体的には,整理されたアセスメントポイントの中から,学生が自身の発達特性を理解しやすいポイントでありプログラムでも扱いやすい【ストレス対処および感情コントロール】【実行機能】【日常生活】の3点を取り上げた。そして,③の自己理解を深める工夫として整理された【気づきと経験による理解】【他者の存在を通じた気づき】【新たな知識・情報の利用】【支援者の姿勢】【理解を助ける面談上の工夫】を取り入れられるようなプログラム構成とした。プログラムの作成は継続中であるが,2024年度前半には完成予定である。 多くの支援者が発達障がい学生の自己理解を深めることが必要であると感じているものの,具体的な関わり方や支援方法については分からないという認識を有していることが指摘されている。本研究の結果,発達障がい学生の自己理解を深める支援方法が構築され,発達障がい学生が自己理解を深められることによって,学生が自身の特性に応じたサポートを求められるようになることが期待される。さらに,本研究の結果は,発達障がい学生をサポートする教職員への支援(メタサポート)方法を整備する上でも非常に重要な知見になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り,2022年度に整理した,①アセスメントポイント,②アセスメント時の工夫,③発達障がい学生の自己理解を深めるための支援者の関わり方や工夫,の3点を考慮しながら,発達障がい学生の自己理解を深めることを目的としたプログラムを作成した(継続中)。プログラム作成時は内容の質の担保として,発達障がい者への支援を行っている専門家と共に行った。プログラムの大部分は完成している。プログラム完成後,改めて専門家への確認を依頼し,エキスパート・コンセンサスを得る予定である。 また,当初はアセスメントする際に着目すべき点を整理した「アセスメントシート」を作成する予定であったが,アセスメント時に着目するポイントは2022年度に整理した内容を論文化することで全体が見られるようになると考えられた。さらに,「アセスメントシート」という形にした場合,全ての内容を一律的に聞き,面談の自然の流れを崩してしまうことにつながる懸念も生じたため,「アセスメントシート」という形にはしないこととした。 最後に,今後の研究実施がスムーズに行えるよう,プログラム実施予定機関の特性も考慮しながら,リクルート方法について検討している。また,プログラム実施に関する倫理審査を速やかに行えるよう準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度前半,プログラム完成後,改めて専門家への確認を依頼し,エキスパート・コンセンサスを得る予定である。その後,プログラムを発達障がい学生および定型発達の学生に実施し,自己理解に変化があるかどうかを検証する。 プログラム実施内容は以下を予定している。回数:計10回。人数:全体で4~6人(発達障がい学生と定型発達学生)。時間:1回あたり90分。テーマの内容:①ストレス対処および感情コントロール,②日常生活(睡眠,食事,整理整頓,アルバイト,趣味・余暇等),③実行機能(スケジュール管理等)。 効果測定:プログラム前後で行う。内容は,自己理解の程度および発達特性の程度を測定する効果指標に加え,プログラムで自己理解を深める際に役に立ったと思われる点について問う自由記述の設問を設ける予定である。以上の効果測定を行うことで,プログラムが自己理解を深める際に有効であったかどうか,どのような点が有効であったのかどうかについて明らかにする予定である。
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