研究課題/領域番号 |
22K13873
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
石川 健太 専修大学, 人間科学部, 助教 (20816334)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 注意 / 社会的刺激 / 視線 / 社交不安 / 注意特性 / 注意バイアス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,社交不安をもつ人は社会的な刺激に対して特に注意プロセスの問題をもつという仮説(社交不安における注意プロセスの領域固有性仮説)を提案する。この仮説に基づき,本研究では社会的,非社会的な刺激に対する注意プロセスについて検証し,従来の手法の問題点を改善した介入手法を提案する。社交不安をもつ人の特徴的な注意プロセスを明らかにし,選択的に介入できるプログラムを開発することは,症状の維持要因の解明や不安症状の低減など,臨床場面への応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
社交不安と全般性不安の共通の維持要因の一つとして,刺激に対して過度に注意を向ける,あるいは注意を逸らすことができないといった注意プロセスの問題がある。こうした注意プロセスへの介入方法として,注意バイアス修正法がある。しかし,注意バイアス修正法は,社交不安への介入効果が十分ではない。本研究では,社交不安をもつ人は社会的な刺激に対して特に注意プロセスの問題をもつという仮説(社交不安における注意プロセスの領域固有性仮説)を提案する。この仮説に基づき,社会的,非社会的な刺激に対する注意プロセスについて検証する。従来の手法の問題点を改善した介入手法を提案することが目的である。
2023年度は,社交不安における注意プロセスの領域性の問題について,空間ストループ課題を実施することで,その詳細を明らかにすることが目的であった。予備的な研究として,空間ストループ課題をもちいてヒト、動物、ロボットなどの視線刺激を用いた実験や非社会的な刺激に関わる注意特性を検証した実験を複数実施し,視線刺激に特有な注意プロセスを明らかにした。一連の研究のなかで,視線刺激に対して特殊な注意特性が生じる上では,その対象に対する心の知覚が関わることが重要であることが明らかになった。これらの結果は,社交不安障害における注意制御の問題が,ヒトの表情や視線といった社会的な刺激に対して特徴的に生じるという特徴とも一致する。これらの研究成果は日本心理学会,電子情報通信学会,Psychonomic Societyなど国内外の学会にて発表した。さらにこれらの研究成果の一部は国際雑誌であるQuarterly Journal of Experimental Psychologyへと投稿し,論文の採択を受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の新型コロナウイルス蔓延に伴う対応による研究計画の遅れの影響があったが,実験計画の修正の段階で新たに着想を得た複数の実験を実施しデータを収集することができた。社交不安における視線刺激に対する領域固有性仮説を検証する上では,視線の注意特性を詳細に検討していくことが重要である。本年度は,視線刺激に関わる注意特性について複数の実験を実施し,社会的,非社会的な刺激に対する新たなモデルの発展に関わる研究をおこなうことができたため,おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在は,これまでの研究成果をより一般化するために海外の研究者と協力し,文化や人種などの要因を考慮した実験準備を進めている。今後は、これらの実験データを収集し,結果を取りまとめていく予定である。
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