研究課題/領域番号 |
22K13879
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
花塚 優貴 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 講師 (90867657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | こころの理論 / 認知症 / アイトラッカー |
研究開始時の研究の概要 |
「こころの理論」とは他者の精神状態を推し量るための能力であり、他者との円滑なコミュニケーションを行う上で、極めて重要なものである。近年では認知症においてもこころの理論に問題を抱えることが指摘されている。報告例も増えてきているものの、認知症患者がこころの理論に障害を持つまでのプロセスと、その症状の特徴を活かした認知症の早期発見のための知見が不足している。そこで本研究ではアイトラッカーを用いて、こころの理論課題を遂行中の認知症、軽度認知症および健常高齢者の比較を通じ、[1]認知症患者のこころの理論の問題の生理的な背景と [2]その知見を活かし、認知症を早期に検出するための兆候を明らかにする。
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研究実績の概要 |
認知症の早期発見のために、近年注目されているのが「こころの理論」の有無を評価する誤信念課題である。誤信念課題の中でも他者の心的な状態を推測する「1次の誤信念課題」と「Aさんはx(物)がy(場所)にあると思っているとBさんは思っている」という入れ子構造を含む「2次の誤信念課題」の成績が、認知症の兆候を早期に検出できるものとして特に期待が高まっている。しかしその一方で、認知症は言語理解に問題を抱える事例も指摘されている。そのため従来の言語的な応答のみで認知症の誤信念課題の成績を評価することは、認知症におけるこころの理論の問題を正確に理解するうえでは不十分である。そこで本研究ではアイトラッカーを利用した非言語的なアプローチで、認知症患者の誤信念課題の理解を調べることで、認知症の症状の徴候を捉えるための指標を見出すことを目的としている。 今年度は大学生を対象とした予備実験を実施した。その結果、1次の誤信念課題では、他者の誤信念を正しく予測する視線パターンが得られた一方で、2次の誤信念課題では、エラーパターンを示す参加者が一定数見られた。したがって定型の大学生においても、非言語的な形式において2次の誤信念課題の理解は難しいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学生を対象とした予備実験を行い、作成した1次の誤信念課題が非言語的な誤信念課題として機能することを確認した。一方2次の誤信念課題については、大学生の中でも一定の割合で誤りを示すことが確認されたため、刺激の調整が必要であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
2次の誤信念課題の調整を済ませ、大学生を対象とした予備実験を行う。2次の誤信念課題の刺激の有用性を確認したのちに、認知症ならびに軽度認知症の患者を対象とした本実験を実施する。「1次の誤信念課題」と「2次の誤信念課題」に関するAOIに対する注視時間・視線移動のパターンを比較し、課題理解の指標探索を行う。
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