研究課題/領域番号 |
22K13892
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澤田 晃一郎 京都大学, 数理解析研究所, 特定助教 (20850605)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高次元遠アーベル幾何学 / 双曲的曲線 / 配置空間 / Grothendieck予想 / 遠アーベル幾何学 / 連正規部分群 / 非分解性 / 中心自明性 / グロタンディーク予想 / 双曲的多重曲線 / 代数的基本群 |
研究開始時の研究の概要 |
双曲的多重曲線やその重要な例である双曲的曲線の配置空間は、遠アーベル多様体である、すなわち、代数的基本群が豊富な性質を持つ、と予想されている。本研究ではこれらの基本群が有する群論的性質の解析を行う。特に双曲的曲線の配置空間については、付随する次数付きLie代数を用いた解析を試みる。また、その解析を通して、一般の双曲的多重曲線についての結果や、それを示唆するような観察を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、星裕一郎氏、辻村昇太氏と共同で前年度後半より進めていた研究である、標数が正の体上の双曲的曲線の配置空間の遠アーベル幾何についての研究をさらに深め、論文として整備を行った(実際の公開・論文投稿は修正作業等の後、2024年度初頭に実施)。この研究では、有限体上有限生成な体の上の双曲的曲線の配置空間のtame基本群に関するGrothendieck予想を証明するものであり、また、その証明の過程で、 1、ある種の代数多様体の射から生じるtame基本群の適切な商の間の射からなる列の完全性 2、一般化ファイバー部分群と呼ばれる、双曲的曲線の配置空間のtame基本群の幾何的に定義される部分群の群論的復元 3、双曲的曲線の配置空間から生じる種々の円分物と呼ばれる対象の群論的同期化 についての結果を得た。標数が0の場合と異なり、標数が正の場合には双曲的曲線の配置空間の射影などの射、およびその幾何的ファイバーから生じる基本群の間の列の完全性の成立は不明であるが、適切な商を取れば完全性が得られ、さらに、この商が遠アーベル的考察を行うことができる程度に十分大きく、その商を利用して、一般化ファイバー部分群(これは商を取る前の基本群の部分群である)などの種々の対象の群論的復元を行うことが可能となった。本研究は、標数が正の体上の高次元多様体の間のGrothendieck予想の結果としておそらく初めてのものであり、高次元遠アーベル幾何学において非常に有意義な結果と考えられる。また、研究発表として、上記の結果についての講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標数が正の体上の双曲的曲線の配置空間についての結果は高次元遠アーベル幾何学の結果として顕著なもので、本研究の研究目的と照らし合わせても大変意義のある進展が得られたと考えている。一方、他の研究の整備などで遅れている部分がある。
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今後の研究の推進方策 |
2022,3年度に得られた結果をさらに深めることを試み、また、応用面でも考察を行う。標数が正の場合にも、さらに標数が0の場合と類似の現象が得られないかなどの考察を続ける。また、当初の研究計画の方針の通り、Lie代数的側面などからの双曲的曲線の配置空間の考察も引き続き行う。
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