研究課題/領域番号 |
22K13900
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
武田 渉 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 助教 (20897326)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | Suranyi-Hickerson予想 / Brocard-Ramanujan問題 / 素イデアル分布 / 素数表現定数 / 超越数 / 代数的独立性 / Schur多重ゼータ関数 / Pieri公式 / 素数表現関数 / Manin予想 |
研究開始時の研究の概要 |
ディオファントス問題とは方程式の整数解や有理数解を求めるものであり, これまで様々な手法や道具を用いることで多くの研究成果が得られている研究課題である. 本研究ではBrocard-Ramanujan問題やManin予想といった未解決問題に対して, これまでの整数論的手法に組合せ論的手法を新たに融合させて研究を行う. 具体的には, 各方程式に対して解の個数の数え上げを組合せ的および代数的に行い, その個数の漸近式を解析的に与える. また, 上記研究と並行して, 組合せ論的構造を持つSchur多重ゼータ関数やその類似関数の性質に関する研究も行い, 整数論と組合せ論の橋渡しを行うことを目指す.
|
研究実績の概要 |
本年度, 主に行った不定方程式の研究は階乗積が階乗積と等しくなる組についてである. これは複数の階乗の積が1つの階乗と等しくなる組を与えるSuranyi-Hickerson予想の一般化であり, 未解決な問題を大きな枠組みでとらえたものとなる. 成果として, 階乗がガンマ関数で補間されることを用いて解が満たす条件を求めた. その後, 計算機を用いてその条件が満たされる下限を求め, 解の存在する下限を与えた. 得られた条件は解の存在する下限を用いて与えられていたため, 同じ議論をさらに繰り返し行うことにより, 解の存在しない範囲の大幅な拡張に成功した. また, 筑波大学の齋藤耕太氏と共同で素数表現定数の代数的および位相的性質についても研究した. 得られた一つ目の結果として, 素数表現定数のすべての集合の位相的性質や最小値の存在性などを明らかにした. さらに, Sub-boundaryと呼ばれる特別な集合を導入することにより, 素数表現定数の超越性や代数的独立性などについても結果を与えた. 前者の結果は先行研究では明らかにされていなかった部分に注目して行った成果であり, 後者の結果はこれまで関連した研究が少なかったため, 新たな研究テーマを提示した研究といえる. 組合せ論に関連する研究としては, 上智大学の中筋麻貴氏と共同で特別な整数の分割に付随する10th variation Schur関数に対して, Pieri公式を与えた. これは以前の研究がより一般の枠組みで成立することを指摘したものである. 特別な場合である9th variation Schur関数に対するPieri公式も一般には知られていないため, 導入したPushing ruleは今後のPieri公式の拡張に関する研究に貢献することが引き続き期待される.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は, これまで重点を置いて研究をしていたBrocard-Ramanujan問題に関して, 解が多く存在する方程式の性質を研究する予定であったが, 予定していたより早く鍵となる性質を明らかにできた. そのため, 本年度は他のディオファントス問題であるSuranyi-Hickerson予想の拡張に関する研究に重点を置いて進めた. この問題についても, これまで扱われていなかった形の方程式の解に関する条件を与えることができ, より大きな範囲における解を求めることができた. 一方, 組合せ的研究に関しては予定していたよりも進めることができず, 例年や計画と比べて大きな成果を得ることができなかった. そのため, 以上を総合しておおむね順調であると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度はこれまでの研究の鍵となっており, 解の存在する範囲を与える素イデアル分布の評価について改めて考える. これは, これまでの研究で得られた結果は有限性であったが, 解の存在する範囲や個数の評価を明示的に与えてはいないため, その点を改めて考えるための最初のステップとなる. また, 類似の技術を用いて他の形のディオファントス問題に対しても貢献することを目指す. 例えば, 近年研究がされ始めた高次のRamanujan-Nagell型の方程式の解の分布に関する研究を進める予定である. この研究のためにはPade近似などこれまで使っていなかった技術を用いる必要もあることが予想されるため, 勉強から始める長期的計画で行う.
|