研究課題/領域番号 |
22K13905
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
柴田 大樹 岡山理科大学, 理学部, 講師 (90804055)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | スーパー代数群 / 既約表現 / テンソル積分解 / テンソル圏 / 中山関手 / ボゾン化 / スタインバーグのテンソル積定理 / フロベニウス核 / ホップ代数 / typicalウェイト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は良く研究されている分裂簡約代数群のスーパー対称バージョンである分裂簡約スーパー代数群の表現論を研究する.分裂簡約代数群の表現論はルート系(データ)を用いて明快に記述されていることが多いが,スーパーの状況ではいまだに研究されていないことが多くある.そこで本研究では申請者のホップ代数的な手法を用いることで,分裂簡約スーパー代数群の表現論のうちで特に既約表現の構造や指標に関する研究を遂行する.
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研究実績の概要 |
研究題目であるスーパー代数群の既約表現に関して,当初の目標であったスタインバークのテンソル積分解型定理が広いクラスのスーパー代数群に対して成立することを一般的な設定で確かめた.さらにスーパー代数群のルート系の挙動が,非常に複雑であることを種々の具体例を通して確認することができており,適切なスーパー代数群のクラスを明確にすることができた.得られたこれらの結果は単著論文にしてまとめ,海外の雑誌にすでに受理され掲載されている. また,テンソル圏の性質を調べる際に重要な役割を果たす中山関手について,これをより広く一般の余代数で定義することでその応用としてフロベニウス・テンソル圏の性質を研究することが可能であることを,清水健一氏(芝浦工業大学)との共同研究により確かめた.得られた結果は共著論文にしてまとめ,海外の雑誌に受理され掲載されている.さらにその延長として,フロベニウス・テンソル圏の完全列に関する研究を行った.その結果,スーパー代数群における積分の存在性に関するあたらな視点を与えてくれることが分かった.この研究は清水健一氏との共著のプレプリントとしてまとめてあり,すでにarXivに掲載している.現在投稿準備中である. また,低次元のスーパー・ホップ代数の分類をボゾン化と呼ばれる手法を用いることによって遂行した.得られた結果は清水健一氏と若尾亮太氏(岡山理科大学)との共同研究として,2本の共著論文にまとめ,すでに投稿している. 以上の得られた結果は日本数学会をはじめとした国内外の研究集会で講演している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で述べていたスタインバークのテンソル積分解型定理が,広いクラスのスーパー代数群に対して成立することを一般的な設定で確かめ,オープンアクセスの論文として発表することができた. また,当初の計画にはなかった(1)テンソル圏的なアプローチによるスーパー代数群の研究と(2)スーパー・ホップ代数の非自明な例に関する研究も行うことができた.特に(1)に関しては,オープンアクセスの論文として発表しており,またその続きの研究に関するプレプリントもarXivにて発表することができた.また(2)に関しては,低次元のスーパー・ホップ代数の分類手法を確立することにより,いくつかのクラスのスーパー・ホップ代数の分類を行い,複数の非自明な例を構成することができた.この内容はすでに2本のプレプリントとしてarXivにて発表しており,すでに海外の雑誌社に投稿している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通りに,今後も引き続きスーパー代数群の既約表現に関する研究を推進していく.特に,スタインバーグのテンソル積分解型定理は既約表現の性質を調べるにあたり非常に重要な役割を果たすので,この定理を用いた既約表現の研究手法の確立を目指す. また,本研究により中山関手を用いたテンソル圏の研究は,スーパー代数群の研究への応用があることが判明したので,この方向性の研究も同時に推進していく. さらに,有限次元スーパー・ホップ代数の分類に関しては,これまで体系的に研究がなされていなかったが,具体的なスーパー・ホップ代数を様々に構成することは,本研究においても新たな視点を与えてくれる可能性があるので,こちらの研究も同時に推進していく.
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