研究課題/領域番号 |
22K13906
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
黒田 匡迪 日本文理大学, 工学部, 准教授 (70829316)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | APN関数 / GAPN関数 / 幾何学的既約 / Fermat曲線 / 例外的数 / 代数的次数 / 代数曲線 |
研究開始時の研究の概要 |
Almost Perfect Nonlinear(APN)関数とは,有限体上で定義された高い非線形性を有する関数である.偶標数の場合は,暗号理論における研究対象の1つであり,符号理論などへの応用も知られている.一方で,奇標数の場合は,偶標数の場合の代数的な性質が成り立たず,これらの分野への応用はあまり知られていない.本研究では,偶標数のAPN関数の代数的な性質を保つ奇標数への一般化として構成されたGeneralized APN(GAPN)関数を単項の場合に深く研究し,その性質を明らかにすることで,GAPN関数の暗号理論,符号理論を含む他分野への応用を模索していく.
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研究実績の概要 |
有限体上の非線形性が高い関数としてPN(Perfect Nonlinear)関数やAPN(Almost PN)関数が研究されており,標数2の場合には,暗号理論や符号理論への応用が知られている.近年,標数2のAPN関数の代数的な性質を保つ奇標数への一般化であるGAPN(Generalized APN)関数が定義され,国内外の研究者によりその研究が進められている.本研究では,単項GAPN関数の分類について調べている.単項PN関数や単項APN関数の場合においても完全な分類を与えることは困難であり,未解決であるが,例外的(無数の有限体上でPNやAPNといった非線形性を保つ)な場合には特徴付けが与えられ,その分類が知られている.そのため,例外的GAPN関数の特徴付けを与えることが本研究の目的の1つである. 奇標数の例外的GAPN関数の分類について,三井健太郎氏(琉球大学)との共同研究を行ってきた.MAGMAを用いた数値実験では,標数3の特殊性が観察されており,主に標数3の場合に研究を進めてきた.単項関数が例外的GAPN関数であるための必要十分条件は,その関数が定めるある代数曲線が基礎体上で定まる幾何学的既約成分をもたないことであることを明らかにした.加えて,この幾何学的既約成分をもつか否かの判定は,この代数曲線の特異点の個数評価の問題に帰着でき,標数3の場合には,有限体上のFermat曲線の有理点の個数評価の問題と密接に関係していることを見出した.また,幾何学的既約性の研究では,permutation polynomialやexceptional polynomialを用いるのが有効であることなど新たな研究手法も見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者のライフイベントにより研究を中断する期間が生じたため,研究に従事する時間が少なかった.加えて,研究開始時の計画では,一般の奇標数の場合の研究を行う予定であったが,標数が5以上の場合には十分な成果が得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
標数3の例外的GAPN関数の分類については,単項関数の指数に技術的な条件を加えた場合にのみ完了している.1つ目の課題として,この技術的な条件を仮定しない場合に分類を与えることが挙げられる.そのためには,単項関数が定めるある代数曲線が基礎体上で定まる幾何学的既約成分をもたないことを確かめる必要がある.上記の通り,このことは有限体上のFermat曲線の有理点の個数評価の問題と関係している.正標数の曲線論やFermat曲線のWeil予想について,国内専門家との研究討論の実施を予定している.並行して,permutation polynomialやexceptional polynomialを利用した新たな手法を用いることで幾何学的既約性の判定に関する研究を進めていく.2つ目の課題として,標数5以上の場合の例外的GAPN関数の分類についての研究が挙げられる.現時点では体系的研究の困難が見込まれるが,1つ目の課題と並行して研究を行う.なお,上記2点の課題について,三井健太郎氏(琉球大学)との共同研究を継続して行う予定である.
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