配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究開始時の研究の概要 |
3次元空間内の自分自身と交わらない閉曲線である結び目の分類や性質の研究で重要な多項式不変量やそのケーブル化の研究を行う. 特に, Jones多項式のケーブル化である色付きJones多項式は結び目の補空間の双曲体積と関係する体積予想で有名である. 本研究では, Jones多項式と同様にHOMFLYPT多項式とKauffman多項式の両方に含まれる結び目不変量のΓ多項式に着目し, そのケーブル化を研究し, 結び目の新情報を発見する.
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研究実績の概要 |
以下の2つの研究を行なった. 「絡み目のS_m^N交差交換と多項式不変量の研究」 2変数v,zの多項式不変量のHOMFLYPT多項式が一致する結び目の無限族は金信泰造氏によって発見されている. しかし, 2変数a,zの多項式不変量のKauffman多項式が一致する結び目の無限族は未だ知られていない. 本研究では, これら2変数多項式不変量の変数zで整理したときの係数多項式に注目する. 河内明夫氏の結果やそれとは異なる手法での宮澤康行氏の結果で, HOMFLYPT多項式に関しては, 任意のsに対して, 任意の絡み目の0番からs番までの係数多項式が一致する絡み目の無限族が構成されている. 本研究では, HOMFLYPT多項式とKauffman多項式のそれぞれの場合に, そのような絡み目の無限族が存在することをS_m^N交差交換を導入することで示した. 「結び目の4移動距離の研究」 λ移動を結び目の局所変形とする. 任意の結び目を有限回のλ移動で自明な結び目に変形できるとき, λ移動は結び目解消操作であるという. λ移動が結び目解消操作であるとき, 自明な結び目を介して, 任意の2つの結び目KとK'は有限回のλ移動で移り合う. KをK'にλ移動で変形するのに必要な最小回数をKとK'のλ移動距離という. 特に, 自明な結び目とのλ移動距離をλ移動結び目解消数という. 本研究では, 結び目の4半ひねりを0半ひねりに変形する操作とその逆の操作である4移動という局所変形を考える. 4移動が結び目解消操作であるかは未解決問題であるので, 無限大も許容して結び目の4移動距離を定義する. 先行研究として, 9交点までの結び目の4移動結び目解消数の表を作成した. 本研究では, 7交点までの結び目の4移動距離の表を作成した. 本研究は, 金信泰造氏との共同研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に基づき, HOMFLYPT多項式とKauffman多項式の共通の0番係数多項式であるΓ多項式とそのケーブル化不変量の研究を多角的に行なっている.
Γ多項式のケーブル化不変量の研究で発見した結び目12a1249から出発し, その対称和の一般化を考え, 絡み目の局所変形であるS_m^N交差交換の研究に至っている.
Γ多項式の特殊値の研究から結び目の4移動距離の研究に発展し, 結び目のX移動距離やH(2)移動距離に関する先行研究の結果を応用し, 結び目の4移動距離の表の作成に至っている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に基づき, 研究を進める.
コンピュータを使った計算から, S_m^N交差交換とΓ多項式のケーブル化不変量との関係について, ある予想が得られたので, その予想の研究を進める.
結び目の4移動距離の表の未決定な部分を改善し, X移動距離, H(2)移動距離, 4移動距離の関係の研究を進める.
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