研究課題/領域番号 |
22K13914
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
寺本 圭佑 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10830002)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 波面 / フロンタル / 特異点 / 擬球的曲面 / 焦面 / ガウス写像 / 混合型曲面 / フロント / 曲率 |
研究開始時の研究の概要 |
3次元ユークリッド空間内の特異点を許容する曲面のクラスにフロントやフロンタルと呼ばれるものがある。本研究では、フロントやフロンタルの焦面に現れる特異性と初期フロント/フロンタルの幾何学的性質や位相的性質を明らかにする。また、特異点の周りで有界なガウス曲率を持つフロントの焦面に対して、そのガウス曲率や平均曲率の振る舞いを調べる。さらに、フロントの幾何学的な研究手法や特異点論の手法を応用し、3次元フロントに対する特異ビョーリング公式の構成とその応用として、3次元ミンコフスキー空間内の混合型曲面に対する特異ビョーリング公式を構成する。
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研究実績の概要 |
本年度は、主としてガウス曲率が負で一定である擬球的曲面の焦面とフロンタル曲面のガウス写像の特異性について研究を行た。これらについて得られた成果は以下のとおりである。 1.擬球的曲面の最も基本的な例はベルトラミの擬球と呼ばれる曲面である。この曲面は、犬跡線と呼ばれる平面曲線の回転面として与えられる。また、犬跡線の縮閉線(焦線)は、懸垂線に対応することから、ベルトラミの擬球の焦面は懸垂面(極小曲面)となることが知られていた。本研究では、擬球的曲面の可積分条件であるサイン・ゴルドン方程式の解を用いて、擬球的曲面の焦面が極小曲面になるための条件を与えた。また、その解はディニ曲面に限ることや、焦面が懸垂面から常螺旋面の等長変形を与えることを示した。 2.波面でないフロンタル曲面において、その特異点ではガウス写像が特異点を持つことが知られていた。これは波面にはない性質である。本研究では、特異点集合の像が正則曲線となるクラスのフロンタル曲面に対して、そのガウス写像の特異点を幾何学的性質を用いて特徴づけた。特に、波面とは異なる事象として、フロンタル曲面のガウス写像には、階数零の特異点が現れ得ることや、その特異点型がシャークスフィンになるための幾何学的な条件を与えた。 これらの研究のほかに、3次元ミンコフスキー空間内の混合型波面や(m,n)-型カスプ辺についての研究を行った。混合型波面については、特異点としてカスプ辺を持つ場合に研究を進めた。本研究では、混合型カスプ辺の標準形を与えた。(m,n)-型カスプ辺については、特異点におけるガウス曲率や平均曲率の有界性・非有界性や発散のオーダーに関して幾何学的性質や特異点型との関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
擬球的波面の焦面に関して、それが極小曲面になる条件やそれを満たす曲面がディニ曲面に限るという興味深い結果を得た。また、フロンタル曲面のガウス写像についても、階数零の特異点は波面では起こりえないものであり、今後の局所的性質の研究において主要な役割を果たすと考えられる。 一方で、混合型波面に対しては、共同研究者と対面での議論をする機会をあまり持てず、思うように進めることができなかった。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた出張などが十分に行えなかったが、次年度は研究協力者の下を訪れて議論をし、課題を推進していく。具体的には以下の課題について取り組む。 1.特異点付き曲面の局所的性質について:フロンタル曲面のカスプ辺型特異点の周りにおいて、曲率線・漸近線の位相的な挙動と幾何学的性質の研究を考察する。曲率線や漸近線はあるバイナリ微分方程式で与えられ、いくつかの場合の位相的な振る舞いの係数関数による特徴づけが知られている。これら既存の結果や新たな結果を適用しつつ、位相的振る舞いを調べる。 2.特異曲面の構成について:特異点を持つ曲面の誘導計量は、半正定値計量になることが知られている。この計量に対して、ラプラス・ベルトラミ型作用素を調べる。また、特異点を持つ曲面にラプラス・ベルトラミ型作用素を作用させることで、曲面と対応する単位法線ベクトルとの関係を平均曲率関数を用いて明らかにしたいと考えている。 3.混合型波面について:混合型(正則)曲面の光的点に対して定義した不変量の特異点での挙動を調べる。この際、混合型波面の標準形を用いる。 これらの研究に対して、研究協力者とこれまでに得られた結果などを討論し、さらに発展させていく。
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