研究課題/領域番号 |
22K13916
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
武富 雄一郎 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任准教授 (60880664)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | リーマン幾何学 / isotropy既約空間 / 対称空間 / 等質空間 / 等長作用 |
研究開始時の研究の概要 |
与えられた多様体上のリーマン計量全体のなす空間を「scalingの差を除いて等長的」という同値関係で割った商空間をリーマン計量のmoduli空間と呼ぶ. このmoduli空間に「等長変換群の大小」によって(前)順序を導入する. この順序に関して極大元を与えるリーマン計量を極大計量と呼ぶことにする. 極大計量はRicci flowなどの様々な計量発展方程式の自己相似解の例を供給してくれる興味深い対象である. 本研究では極大計量の例の構成, および分類を目指す.
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研究実績の概要 |
与えられた多様体上のリーマン計量全体のなす空間を「scalingの差を除いて等長的」という同値関係で割った商空間(リーマン計量のmoduli空間)を考え, この商空間に「等長変換群の大小」によって順序を導入する. この順序に関して極大元を与えるリーマン計量を極大計量と呼び, 研究を行っている. 極大計量はRicci flowなどの様々な計量発展方程式の自己相似解の例を供給してくれる興味深い対象である. 本年度は特に, 「与えられた(可解)Lie群がいつ左不変な極大計量を許容するか」という問題に焦点を絞って研究を行った. これまでの研究で, unimodular完全可解Lie群Gが左不変な極大計量を許容するための必要十分条件を(Gから決まる, ある種の群作用の言葉で)与えることができていた. その必要十分条件を深く考察することにより, (1) unimodular完全可解Lie群Gが左不変な極大計量を許容するためには, Gが2-step可解Lie群であることが必要であることが分かった. また, このこと(と, 左不変Ricci solitonに関する種々の先行研究を組み合わせること)により, 左不変な極大計量を許容する非べき零unimodular完全可解Lie群のシンプルな特徴付けを得た(ユークリッド空間の部分ベクトル空間であって, 既約置換表現を許容するものと一対一に対応する). (2) べき零Lie群Gが左不変な極大計量を許容するためには, Gが2-stepべき零Lie群であることが必要であることが分かった. また, 左不変な極大計量を許容するべき零Lie群の新たな具体例を得た. これらの結果を3月に大阪公立大学で行われた国際研究集会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可解Lie群上の左不変な極大計量の研究のうち, unimodular完全可解Lie群のケースが大きく進展した. これらのケースについては, 極大計量を許容するためのシンプルな代数的障害が得られ, さらに非べき零の場合には, 特徴付けまで行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
可解Lie群上の左不変な極大計量の研究をさらに進める. 来年度以降は (1)これまで得られた具体例を観察しつつ, 左不変な極大計量を許容するべき零Lie群の特徴付け・分類を試みる. (2)左不変な極大計量を許容する非べき零unimodular完全可解Lie群の分類を達成するために, 「ユークリッド空間の部分ベクトル空間であって, 既約置換表現を許容するもの」の分類を試みる. (3)非unimodularな可解Lie群上の左不変な極大計量についてもアプローチを試みる. 先行研究により, 可解Lie群上の左不変Ricci soliton計量の等長変換群の計算方法がある程度確立されているため, それを足掛りにする.
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