研究課題/領域番号 |
22K13926
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松浦 浩平 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90874355)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 反射壁ブラウン運動 / 離散近似 / 拡散過程 / 道ごとの一意性 / 境界条件 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では領域上の拡散過程を調べる。特に、拡散係数がヘルダー連続であり、領域の境界上で退化する場合、領域の境界がフラクタル集合のように複雑になる場合を扱う。このような状況は特異なものだが、数理ファイナンスと集団遺伝学に起源をもつpolynomial diffusionや一様領域上の反射壁ブラウン運動といった例を含み、理論・応用の両面で重要な研究対象である。この種の拡散過程を詳しく調べるため、その一意性と近似に関する理論を深化させる。polynomial diffusionの道ごとの一意性、及び一様領域上の反射壁ブラウン運動の境界局所時間に対する離散近似といった具体的問題を通じて研究を行う。
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研究実績の概要 |
京都大学の日野正訓教授及びその指導学生であった真木新太氏との共同研究において、ユークリッド空間の領域上の反射壁ブラウン運動の離散近似に関する結果を得ることができた。この近似は領域の分割上のマルコフ連鎖を用いたものであり、重要な分割の例としては、一様かつ独立なランダム点配置から定まるボロノイ分割が挙げられる。この種の状況では、点配置が不均一であることに由来する問題が多く発生し、適切なマルコフ連鎖の構成自体が非自明なものとなる。本研究では、この種の不均一性を補正するため、均質化理論に見られるようなコレクターの導入が重要となった。また、反射壁ブラウン運動の生成作用素であるノイマン・ラプラシアンの芯についても結果を得ることができた。本研究の結果を周知するため、国内の確率論セミナーで講演を行った。
ユークリッド空間の領域上の反射壁ブラウン運動の離散近似に関しては、領域内の格子点上の単純ランダムウォークを用いた先行研究があった。これは、ワシントン大学のK.Burdzy氏とZ.Q.Chen氏らによってなされたものである。証明では、ランダムウォークの列の部分列極限の存在を示し、更にそれがマルコフ性をもつことを確認する必要があった。マルコフ性の証明にあたっては、T.Delmotte氏による放物型ハルナック不等式が用いられていたが、別の方法による証明を与えた。これはマルコフ連鎖に対応する生成作用素のスペクトルギャップの定量評価を用いたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反射壁ブラウン運動の離散近似は本研究課題に深く関わるものであり、既存の研究にはなかった不均一性を伴う設定で証明を完成させることができたため。当該年度は初年度であるが、研究発表を通じ、離散近似に関する専門的な知識や技術を獲得することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
まずは反射壁ブラウン運動の離散近似についての論文の執筆を完了させる。領域内の格子点上の単純ランダムウォークの列に対し、その部分列極限がマルコフ性をもつことは既に知られていた。しかし、本年度で与えた別証明はこれまでになかったものであり、より一般的な文脈で通用するか検証したい。polynomial diffusionの道ごとの一意性及び一様領域上の反射壁ブラウン運動の境界局所時間の研究については、国内外の研究集会への参加やそこでの発表を通じ、問題解決に必要な知見を広げる。
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