研究課題/領域番号 |
22K13929
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
角田 謙吉 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (10783938)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 確率論 / 粒子系 / 流体力学極限 / 鋭敏な界面極限 / 反応拡散方程式 / Burgers方程式 / 格子気体 / 大偏差原理 / 準安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
流体力学極限は確率論の枠組みの中で大数の法則として定式化され、関連するスケール極限である大偏差原理や、より詳細に系の振る舞いを記述する準安定性の問題が自然に考えられる。微視的な系は振動子鎖模型や界面模型等さまざまなものが考えられるが、本研究では格子気体とよばれる確率的粒子系に焦点を当て、その例である零距離過程とグラウバー+川崎過程を扱い、本研究では零距離過程に対する大偏差原理及びグラウバー+川崎過程に対する準安定性について研究を行う。
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研究実績の概要 |
今年度は主に二つの問題に取り組んだ。一つ目はGlauber-Kawasaki過程に対する大偏差原理のレート関数についての鋭敏な界面極限である。先行研究ではレート関数の拡散項が線形である場合を扱っていたが、今回は拡散項が準線形である場合を考えた。拡散項が準線形である反応拡散方程式に対する鋭敏な界面極限は、古典的な問題ではあるものの、近年(2022年)になって得られた舟木らによる先行研究がある。拡散項が線型でも準線型でも極限に現れる方程式は平均曲率流であるが、準線型である場合にはその移流係数がどのように導出されるかは自明でなく、実際ある種の均質化を通して決定される。我々の問題においても同じ移流係数が現れると自然に期待されるが、確かに我々の問題でも同じ移流係数が現れることが確認できた。問題はほぼ全て解決しているので、後は証明の最後の詰めをすることが残っている。これは室蘭工業大学の可香谷隆氏との共同研究に基づく。 二つ目の問題は衝突を伴う排他過程に対する非圧縮極限である。衝突を伴わない場合には以前研究を行い、衝突を伴う場合に結果を拡張することが課題として残されていた。衝突を伴わない場合には極限に粘性のあるBurgers方程式が現れることを示したが、今回は多成分Burgers方程式が得られるだろうと予想していた。今年度は数学的に厳密ではないもののその予想が正しいことの感触を得た。数学的にはBoltzman-Gibbs原理とよばれる粒子系に対する線型応答を示す必要があり、これは今後の課題である。これは金沢大学のPatrick van Meurs氏との共同研究に基づく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可香谷氏との共同研究はまだ完成はしていないものの、残りの課題は明確でありそこまで時間がかからずに解決だろうと予想している。また論文の執筆についても非常に進んでおり、研究は順調に進んでいるといえる。またvan Meurs氏との共同研究は今年度の終盤にかけて取り組んだ問題であり、取り組んだ期間を考えると順調に進展している。現在までに得られた成果も、研究開始前に想定していたものであるため現段階の進捗状況に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
初めに可香谷氏との共同研究の完成を目指す。数学的な議論を詰めることが直近の課題である。それさえ終われば残るは論文の執筆だが、それも残すところは後少しなので研究の完成は近いと考えている。また可香谷氏との共同研究と並行して、van Meurs氏との共同研究を進める。こちらはまずは数学的な部分の解決に着手する。先に述べたBoltman-Gibs原理の証明が基本的な問題であるので、今年度中の解決を目指す。
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