研究課題/領域番号 |
22K13931
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
長田 翔太 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 助教 (90901033)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 行列式点過程 / 相互作用粒子系 / エルゴード性 / α行列式点過程 / Bernoulli性 / IID factor map |
研究開始時の研究の概要 |
本課題の研究対象は相互作用を持つ無限粒子系である.相互作用がポテンシャルで記述される無限粒子系の古典理論は,Dobrushin-Lanford-Ruelle(DLR)方程式に基づくGibbs測度の理論として1970年頃に確立した.一方,α-行列式点過程は2000年ごろ確立した核関数により特徴づけられる無限粒子系のクラスである.核関数とポテンシャルの対応は未開拓である. 本課題では,「α-行列式点過程が記述する粒子系の相互作用は何か?」という問に対し,「α-行列式点過程は無相関な点過程であるPoisson点過程とどれだけ近いか?」という観点からα-行列式点過程の相互作用の解明に取り組む.
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研究実績の概要 |
本課題の研究対象は相互作用を持つ無限粒子系である.本課題では,相互作用を持つ無限粒子系が「無相関な点過程であるPoisson点過程とどれだけ近いか」という観点から相互作用の解明に取り組む.点過程はランダムな点配置であり静的な無限粒子系であるが,本研究ではそれを空間を運動する無限粒子系のスナップショットだと思うことで,ダイナミクスの立場から点過程の相互作用を解明する.本課題はダイナミクスの手法を用いる研究のため,点過程とダイナミクスの関係性を明らかにすることは研究遂行の重要なステップである.今年度は,主にRd上の無限粒子系のダイナミクスの構成に取り組んだ. 以前,対数微分のL^1可積分性から点過程に附随するダイナミクスを構成するという手法を発表している.今年度は,この結果をさらに整理した.その応用として,長田博文氏との共同研究によって,2次元空間上の無限粒子系であるβ-Ginibre点過程に対して一般の逆温度βにおけるダイナミクスの構成を行った.β=2のβ-Ginibre点過程は行列式点過程である.この結果は,対数微分のL^1可積分性からダイナミクスを構成するという一般論の良い応用例となった.現在論文執筆中である.また,長田博文氏との共同研究によって,1次元空間上の無限粒子系であるDyson's modelに対してエルゴード性を示した.逆温度β=2のDyson's modelは行列式点過程に対応している.本結果はJournal of Mathematical Physicsに掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度には,Rd上の無限粒子系のダイナミクスの構成と,ダイナミクスが構成されているモデルに対するIID factor mapの構成に取り組む予定であった.後者はあまり進んでいないが,Rd上のダイナミクスの構成においては想定以上の進展があった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度はダイナミクスの構成に注力した.今後は予定通り,ダイナミクスの構成からBernoulli性,IID factor mapの構成という,Poisson点過程との比較による相互作用の解明の方向に向かう.
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