配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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研究開始時の研究の概要 |
介在物を含む母体からなる複合媒質を考える. このとき, 楕円型偏微分方程式における優決定問題を考える. 本優決定問題は, 介在物と母体が同心球の時に可解ではあるが, 任意の介在物と母体の組に対して可解であるとは限らない. 本研究では, 本優決定問題を可解とする介在物と母体の組のことを最良組と呼ぶこととし, 最良組の幾何学的な性質に関する解析を行う. さらに, 最良組の族に焦点を当て, 最良組の族のなす枝の位相構造を考察する. 特に, 分岐現象及び枝の大域的な挙動を研究する.
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研究実績の概要 |
本年度報告する主な研究成果は以下のものである. ① 論文[C., G. Poggesi, T. Yachimura, Nonlinear Anal. 2022] では, Serrin 型優決定問題において, 一相と二相の場合を比較して, 定量的な安定性の評価を与えた. 一相の場合は, 本優決定問題の解が球に限る[Serrin 1971]. 一方で, 二相の場合は非自明な解もまた存在することが知られている[C.-Yachimura 2020]. 本論文では, 二相Serrin 型優決定問題の問題設定が「一相に近い」という仮定の下で, 二相Serrin 型優決定問題の解は「球に近い」という定量的な評価を与えた. ② 論文[C.,T. Yachimura, Current Trends in Analysis 2022]では, [C.-Yachimura 2020] で扱えなかった「退化な設定」(伝導率がcritical value のときに相当する)において, 二相Serrin型優決定問題の解の枝が分岐することを示した. ③ 論文[C., Indiana Univ. Math. J. 2022] では, 「境界上の法線微分の値が平均曲率と比例する」という条件を満たす二相楕円型方程式における優決定問題を考えた. 優決定条件に現れる比例定数によって, 「A) 解は存在しない」, 「B) 解は自明解 (同心球) に限る」, 「C) 自明解に加えて、非自明解もまた存在する」の三パターンの特徴づけを行った. また, C) の場合, 分岐解析を行った.
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今後の研究の推進方策 |
介在物と母体からなる複合媒質における楕円型優決定問題(二相Serrin型優決定問題)の非対称解(非自明解)とこれらを成す族における, より精密な解析を行うことを今後の研究の目的とする. 特に, 非自明解の大域的解析に重点を置いて研究を進める予定である. 具体的には, 以下の課題に挑戦する予定である.① 任意に与えられた一般の開集合(連結とは限らない)を介在物とした解の構成に努める.② 介在物を固定した上で, 解(自由境界)の族が成す(葉層)構造を考察する.③ 界面エネルギー(Kapitza抵抗)を伴う複合媒質におけるSerrin型優決定問題に既存の結果を拡張する.④ 多相設定または異なる優決定条件を考察する.⑤ 本問題で培ったノウハウを他の自由境界問題(流体力学における定常渦の自由境界問題等)に適用する.
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