研究課題/領域番号 |
22K13944
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
|
研究機関 | 公立鳥取環境大学 |
研究代表者 |
小杉 卓裕 公立鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 講師 (80816215)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 平均場ゲーム / 随伴法 / 適切性 / 不動点定理 / 藤田型方程式 / 完全非線形方程式 / 粘性解 / 自由境界問題 / 正則性 / 準線形方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
偏微分方程式は様々な現象を表すことが知られているが,数学ではまずその解が存在するかどうかから問題となる.特に現代では「弱解」と呼ばれる,通常の意味での解よりも見つけやすい解について考察することが多い. 本研究は弱解の一種である粘性解に係る研究である.粘性解は動的計画法を通し数理ファイナンスを含む確率最適制御や確率微分ゲームからも自然に現れることが知られている. より具体的に本研究では,数学的な解析手法の充実のために正則性・可積分評価を得ること,ゲーム理論から現れるMean Field Gamesや化学反応等で現れる藤田型方程式の完全非線形版について解の存在を示すことを目標としている.
|
研究実績の概要 |
Mean-Field GamesはJ.-M. LasryとP.-L. Lionsにより偏微分方程式として定式化された,極めて多数の理性的なプレーヤーが制限されたゲームの情報をもとに最適な選択肢を選ぶことを表す問題であり,数学的には,個々のプレーヤーの最適制御を表す (粘性) Hamilton-Jacobi 方程式と,その最適な制御を移流項をもつ Fokker-Plank 方程式の系によって記述される.後者は全プレーヤーの分布に関する方程式である.また,Gomes-Saude (2021) により,第3の方程式として電気のような溜め込んでおける商品について需要と供給のバランス表す積分方程式を導入した1次元トーラス上のMean-Field Gamesの系について解の存在が示された.この系は価格形成モデルと呼ばれる.我々はその一般次元版について,確率最適制御理論を用いた評価により解の存在を示したBonnans-Hadikhanloo-Pfeiffer (2021) と異なる手法として,偏微分方程式論的解の評価や不動点定理のみを用いて解の存在を示すことに成功した.また,分布の初期値が正の場合に解の一意性も示した.本結果における解の意味は古典解であるが,粘性消去法を用いることで粘性項がない価格形成モデルにおいて弱解の存在を示せる可能性がある. 藤田型方程式は熱に依存してさらに熱を発するような化学反応を表す半線形熱方程式であるが,その完全非線形版,つまり2階について非線形化した方程式の有界領域での藤田指数を求めた.藤田指数は解が時間大域的に存在しうる臨界のことである.本結果は粘性解の意味で示している.藤田型方程式に現れる非線形項 (未知函数のベキ乗) は分岐過程にも現れるため,粘性解での結果はその理論と繋がる可能性がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画ではMean-Field Gamesの解析に重きをおいており,その研究について一つ結果が得られた.今後の研究についてでも述べるように,これに付随して研究が進むと考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
最近Mean-Field Gamesの粘性消去法の際の収束率についての結果が出された.この手法について価格形成モデルの粘性消去法や,本研究計画において挙げている自由境界問題の近似解の収束率への応用可能性を考える.また,これまで得られたHarnack不等式の結果を応用し,p-ラプラシアンを含む完全非線形方程式に対する正則性の問題としてPhragmen-Lindelofについても考察する.
|