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非有界領域におけるナビエ・ストークス方程式の自由境界問題

研究課題

研究課題/領域番号 22K13945
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分12020:数理解析学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

大石 健太  早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (00906141)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードNavier-Stokes方程式 / 自由境界問題 / 一相問題 / 時間大域解 / 時間減衰評価 / 最大正則性 / 解析半群 / 二相問題 / 時間大域適切性 / 半空間
研究開始時の研究の概要

水などの非圧縮粘性流体の運動を記述するNavier-Stokes方程式の自由境界問題(流体の速度と圧力に加え領域も時刻正で未知となる問題)を解析する.特に,無限に深い海洋での波の現象の数理モデルとして,初期時刻における流体の占める領域が半空間の場合に,方程式系の時間大域解の一意存在を証明し解の減衰速度を解明することを目指す.さらに,空間・時間周期解について対応する結果の証明を目指す.

研究実績の概要

1. 空間二次元の場合に,初期時刻における流体の占める領域を半空間として,非圧縮性Navier-Stokes方程式系における一相自由境界問題の小さい初期値に対する時間大域適切性と解の時間遠方減衰評価を示した.昨年度は非圧縮性条件に現れる非線形項に起因する項の評価に困難が生じて本結果が得られなかったが, ヘルダーの不等式で評価する際の指数を上手く選ぶことで,その困難が生じた項の評価に成功し本結果を得た.
技術的な理由で解の減衰速度は解のクラスにおける時間に関するルベーグ空間に依っているため,解の減衰速度は最適ではないが,そのpを大きくしていけば熱半群の減衰にいくらでも近づけられると分かった.具体的には,時間に関するルベーグ空間の指数1<p<∞に対し,熱半群より1/p+εだけ遅い減衰で解の減衰評価が得られている.
2. 既に時間大域適切性および解の時間遠方減衰評価が得られていた三次元の場合に,その減衰速度をある程度改善した.具体的には,二次元の場合と同様に,時間に関するルベーグ空間の指数1<p<∞に対し,熱半群より1/p+εだけ遅い減衰で解の減衰評価が得られた.特に,改善前の結果では,解を測るルベーグ空間の指数を大きくしていくと減衰速度は速くなるものの途中で打ち止めになりえるという結果だったが,改善により,その打ち止めはないと分かった.
3. 既に時間大域適切性および解の時間遠方減衰評価が得られていた三次元の場合に,初期値のクラスを改善した.Lp-Lq評価を使うために十分小さい指数q_0と十分と大きい指数q_2に対し対応するルベーグ空間の共通部分L_{q_0}\cap L_{q_2}に初期値が属す必要があったが,その二つの指数q_0とq_2の差を縮めてより広いクラスの初期値に対しても時間大域適切性を示した.二次元の場合も類似のクラスに対する初期値で時間大域適切性が得られている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

(1) 物理的にも自然と思われる数理モデルを発見した.さらに,本研究では適切な座標変換で考察する自由境界問題を固定領域(reference domain)上の問題に帰着するが,帰着後の問題において空間周期的な解を構成すれば,元の自由境界問題の空間周期解も得られそうだということを確認した.一方で,固定領域上の問題に付随する線形化問題の基本解が得られていないことが分かり,当初予定していた時間周期解の構成はできなかった.
(2) 本研究では,初期時刻に置いて流体が占める領域がN次元半空間の場合に,空間周期条件に起因する領域の接方向への有界性と非圧縮性Navier-Stokes方程式系の自由境界問題の解の減衰速度との関係を明らかにすることを目指す.そのため,N-1次元ある接方向のうち全てあるいは一部の方向に空間周期条件を課した場合と課さない場合について,時間大域解の最適な時間遠方減衰速度を解明することが望まれる.昨年度までは空間周期条件を課さない場合を研究していたが,「5.研究実績の概要」(2)の通り,ある程度良い減衰が得られたものの最適な減衰は得られなかった.空間変数xに関する空間がベゾフ空間になるものの実補間を用いて最適な減衰を得うる手法は思いついたが,線形化問題の解の減衰を得るのが難しくその結果も得られなかった.
以上の理由から,研究代表者は,本研究は当初の予定から遅れていると判断する.

今後の研究の推進方策

(1) 時間,空間,時空間両方の3つについて周期的な解の一意存在を証明することを目指す.当初は,時間周期解の一意存在と空間および時空間両方が周期的な解の一意存在を別々に証明する予定であったが,その証明をある程度統一的にできる可能性に気づいた.その証明では,周期解の有界性を保証するde Leeveの定理をR-有界性を保証する場合に拡張することが鍵となるが,それが成り立ちそうだということも確認した.そこで上記3つについて周期的な解の一意存在を可能な限り統一的に証明したい.
(2) 「7.現在までの進捗状況」(1)の最適な減衰について,線形化問題の解の減衰を得る際の問題を解決する策を引き続き探していく.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)

  • [学会発表] On the global well-posedness and decay of a free boundary problem of the Navier-Stokes equation in the two-dimensional half space2024

    • 著者名/発表者名
      大石健太
    • 学会等名
      流体数学セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] On the global well-posedness and decay of a free boundary problem of the Navier-Stokes equation in the two-dimensional half space2023

    • 著者名/発表者名
      Kenta Oishi
    • 学会等名
      RIMS 共同研究(公開型)調和解析と非線形偏微分方程式
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 2次元半空間上の Navier-Stokes 方程式の自由境界問題の時間大域適切性と解の減衰について2023

    • 著者名/発表者名
      大石健太
    • 学会等名
      日本数学会2023年度秋季総合分科会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] On the global well-posedness and decay of a free boundary problem of the Navier-Stokes equation in the two-dimensional half space2023

    • 著者名/発表者名
      大石健太
    • 学会等名
      名古屋微分方程式セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] On the global well-posedness and decay of a free boundary problem of the Navier-Stokes equation in two-dimensional half space2022

    • 著者名/発表者名
      Kenta Oishi
    • 学会等名
      International Workshop on Multi-Phase Flows: Analysis, Modelling and Numerics, 早稲田大学
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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