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動的境界条件の下で微生物・化学物質の影響を考慮した流体方程式の適切性理論の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K13948
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分12020:数理解析学関連
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

古川 賢  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員 (70895309)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードロトカ・ヴォルテラ方程式 / 移流拡散方程式 / Navier-Stokes方程式 / 濾過 / 適切性 / 漸近挙動 / 安定性 / 被食者捕食者方程式 / 反応拡散方程式 / 動的境界条件 / 最大正則性理論 / 被食者捕食者モデル
研究開始時の研究の概要

Navier-Stokes方程式は,流体運動を記述する基本的な偏微分方程式であり,数学の分野においても非常に活発に研究がなされている重要な対象である.近年,境界上のでの拡散現象を記述するために,境界条件に時間微分を含む動的境界条件の下での放物型方程式に対する研究が注目されてきている.本研究では,流体中の化学物質・微生物が流れによって境界に付着することによりNavier-Stokes方程式の境界条件に影響を与える偏微分方程式系を考え,この方程式系の線型化問題に対する最大正則性理論構築する.さらに,最大正則性を応用することにより,非線型問題に対する適切性の理論を構築する.

研究実績の概要

本年度は前年度に引き続き,1次元の場合に対し,本研究で対象としている水槽の濾過とフィルターの目詰まりを記述する偏微分方程式系のモデルに対する(1)解の解の一意存在性(適切性)の証明と(2)数値シミュレーションによるモデルの挙動の妥当性の検証を行った.
(1)では,1次元ではNavier-Stokes方程式が非圧縮条件により実質的に無視できるため,移流拡散被食者捕食者モデルのみの考察を行った.本研究では境界条件がよく用いられているDirichlet,Neumann,Robin,周期境界条件のいずれでもない上に,時間依存するため,この点の解析が重要となった.境界条件が時間依存する場合は,発展作用素を構成することが必要となり,田辺-加藤の理論を援用することで解決した.この解析の際に本研究の目的である2次元以上の高次元空間の場合でも援用可能な線型化作用素の解公式を導出することができた.これは来年度以降での研究でも大いに役立つことが期待できる.これらの線型解析,不動点定理,アプリオリ評価を援用することで1次元の場合での適切性の証明を行った.ここでのアプリオリ評価も来年度以降の高次元の場合でも援用できることが期待できる.
(2)では,前年度に開発した数値シミュレーションシステムを用いて,モデルの数理物理的妥当性を検証した.モデルの給餌量と濾過能力に対応するパラメータを変えて数値シミュレーションを行うことで,目詰まりの発生と不発生が起こるというモデリングの際に期待した通りの挙動を再現できていることを検証できた.また,この目詰まりの発生・不発生の転移のを複数パラメータに対して詳しく調べ,転移の境界を可視化することに成功した.
これらの結果をまとめ論文としてプレプリントとして発表したほか学術論文雑誌に投稿中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調としたのは,1次元の場合に関して時間大域解の存在を証明した点,数値シミュレーションによりモデルが想定される挙動を示すことを検証できた点,さらにこれらの結果を論文としてまとめ学術論文雑誌に投稿をしたことによる.また,1次元で用いた知見を用いて,2次元以上の高次元の空間で適切性を証明するのに必要となる線型化問題の解の表示公式を得ることができた.総合的には概ね期待通りの進展をしているといえる.

今後の研究の推進方策

1次元の場合で得られた知見を用いて,2次元と3次元の場合の時間大域解の存在性に関する数学解析を進める.まずは線型化問題に対する解の最大正則性評価を導出する.そのために線型化問題のレゾルベント問題に対して解表示を導出する.これに対してbounded H∞-calculusなどの作用素論の理論を用いることで適切性の証明を行うことを想定している.線型解析で得られた結果を応用することで非線形問題に対する適切性を確立する.アプリオリ評価を導出することで解の存在時刻の延長も行う.この際に1次元で行ったアプリオリ評価の導出する計算手法が役立つことが期待される.また,2次元 と3次元での数値実験をするための数値シミュレーションシステムの開発も行う予定である.
1次元での解析の発展として安定性を考察する.まずは捕食者に相当する項が定常状態に達していると仮定するなど次元の削減を行い,考察を進める予定である.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Data Assimilation to the Primitive Equations with Lp-Lq-based Maximal Regularity Approach2024

    • 著者名/発表者名
      Ken Furukawa
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Fluid Mechanics

      巻: 26, no. 9 号: 1 ページ: 1-32

    • DOI

      10.1007/s00021-023-00843-2

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Well-Posedness of One-Dimensional Drift-Diffusion Equations under Dynamic Conditions and the Fourth Boundary Condition2024

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      第25回北東数学解析研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 動的境界条件下での移流拡散方程式と濾過現象について2024

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      日本数学会2024年度年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] いくつかの力学系とそのデータ同化による予測について2023

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      数値解析セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] アクアリウムに対するシンプルな濾過のモデルと動的境界条件付き移流拡散方程式について2023

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      数理解析若手交流会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] アクアリウム内の微生物生態系と濾過フィルターの目詰まりを記述する数理モデルについて2023

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      生物流体力学における境界の役割
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] A Mathematical Model and Its Mathematical Analysis Representing Filtration and Filter Clogging in an Aquarium(ポスター発表)2023

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      ICMMA 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] プリミティブ方程式のデータ同化に関する数学的側面について2022

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      第48回 発展方程式研究会(東京理科大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Nudging Type Data Assimilation to the Primitive Equations in Lp-Lq Maximal Regularity Setting2022

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      若手による流体力学の基礎方程式研究集会(名古屋大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 最大正則性のクラスでのプリミティブ方程式のデータ同化2022

    • 著者名/発表者名
      古川賢
    • 学会等名
      2023年度日本数学会年会(中央大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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