研究課題/領域番号 |
22K13949
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
盧 暁南 岐阜大学, 工学部, 准教授 (10805683)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | Detecting Array / Locating Array / Error Tolerance / グループテスト / Orthogonal Array / D-最適 / 制約充足問題 / 組合せテスト / locating array / covering array / orthogonal array / separable matrix / cyclic design / SATソルバー / 実験計画法 / 組合せ符号 / 検査計画問題 / 探索アルゴリズム / 巡回デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,周期性を持つデータにおける実験計画法・複雑システムにおける不具合検出の検査計画問題・情報通信システムにおける組合せ符号などの分野に現れる巡回型の組合せデザイン,その最適性およびアルゴリズムについて研究を行う.これらの組合せ構造の構成方法は伝統的組合せデザインより遥かに複雑であり,従来の組合せデザインの数理的構成手法はそのまま使えない場合が多くあるため,計算機による探索と数理的手法を併用することを通して最適な組合デザインを構成することを目指す.また,検査計画と組合せ符号に共通する数理的構造に基づいて検査計画の検出アルゴリズム・組合せ符号の復号アルゴリズムを統一的に研究を進める.
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研究実績の概要 |
今年度は主に検査計画問題・グループテスト問題・実験計画法および暗号方式に関連する組合せデザインに重点を置き,以下の研究を推進した.下記の研究で得られた成果は国内外の学会で発表した. (1) 検査計画問題において,誤り訂正符号の考えを活用し,Error Tolerant Detecting Array (ETDA) を提案し,昨年度までの研究で考案した Error-Correcting Locating Array (ECLA) との関連性を明らかにし,その組合せデザイン論を用いた構成法を考案した. (2) 非適応型検査計画問題のテスト配列について,グループテストのテスト配列構造およびそれらの検出アルゴリズムと統一的に研究を進めるため,代替行列の概念を通して両者を統一的に取り扱うフレームワークを確立した. (3) fMRIの実験計画法のための Circulant Almost Orthogonal Array (CAOA) について,統計的D-最適なCAOAのnegacyclic構造を解明し,これが計算機探索に役立つ可能性を示した.(4) 非適応型グループテストで複数種類の検体を扱うモデルについて,昨年度まで解明した組合せ的特徴付けに基づいて,有限幾何学や誤り訂正符号を用いた構成法を提案し,シミュレーションによる評価実験を行った. (5) 種々の組合せデザインの構成問題および視覚暗号方式に関わる組合せ構造に対して,SAT型制約充足ソルバーを用いた求解手法について研究を行った.視覚暗号方式などに内在する組合せ構造の計算機探索に有効であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,下記の研究成果を得ており,順調に進展していると考える. (1) ETDA の概念を提案し,ECLAとの関連性を組合せ論と符号理論で明らかにした.また,ETDAとしてPaley行列の誤り訂正能力を評価し,国内学会で発表した. (2) 非適応型グループテストと検査計画に関する組合せ構造の統一的取り扱いに成功し,昨年度の目標であった「グループテストと検査計画の双方向の組合せ構造とアルゴリズム」に関する初期成果を国内学会で招待講演として発表した. (3) 最適CAOAの代数的性質について昨年度の目標を概ね達成し,その成果を国内外の学会で発表した.(4) 複数種類の検体を対象とした非適応型グループテストに関する研究成果を国内学会で発表し,現在も研究を継続中である. (5) 制約充足の手法を用いて視覚暗号方式における組合せ構造について,従来より優れた組合せ構造の構成に成功し,その成果を国内学会で発表した. これらの成果により,検査計画・実験計画および暗号方式に関する組合せデザインの研究は順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では,これまでの成果を踏まえて,以下の方針で研究を推進していきたいと考える. (1) 検査計画問題におけるETDAとECLAについて,これまでの構成法を整理・拡張し,論文執筆に取り組む予定である.また,これに適した検査・検出アルゴリズムの研究も進める. (2) グループテストとの統一的なフレームワークを利用して,検査計画問題における新たな組合せ構造やアルゴリズムの開発を目指す.また,組合せデザインとランダム構造の両方を取り入れる手法を推進し,ランダムグラフ理論や確率論の手法を活用したアプローチを取り組みたい. (3) 統計的D-最適なCAOAについて,計算機による探索アルゴリズムの改良と,CAOAの代数的構造を活用した新たな組合せ論の構成法を考案する予定である. (4) 視覚暗号方式や他の秘密分散法に組合せデザインの知恵を応用し,最適化手法やSAT技術を併用して,視覚暗号と組合せデザインなどの内在する関連性を解明したい. これらの方向性に基づき,国内外の研究者との連携を強化し,研究成果を積極的に発表することで,研究の推進を図る.
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