研究課題/領域番号 |
22K13956
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
前澤 俊一 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 助教 (70905934)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | グラフマイナー / 組合せ遷移 / 極値グラフ理論 / 次数条件 / 平面的グラフ / 密グラフ |
研究開始時の研究の概要 |
頂点の除去,辺の除去,辺の縮約の3つの操作を有限回行うことでグラフGからグラフHが得られるとき,HはGのマイナーであるという.『あるグラフHが与えられたとき,Hをマイナーに含むための条件』に関する研究は様々な重要な予想や問題,アルゴリズムの高速化に有用であるとして盛んに行われている.しかし,既存の手法はHが特別な場合にしか適用できない.そこで本研究では,極値グラフ理論という十分に辺が多いグラフをから特別な構造を見つける研究の知見を活かして,より多くのグラフを対象とできるような手法の開発を行う.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は極値グラフ理論的観点から完全多部グラフマイナーのスペクトラム解析である.目的達成のため,本研究では辺の本数が頂点数に比べて多いグラフ(密なグラフ)の構造解析やlinkageとマイナーの関係性に関する研究を行った.このほかにも,スペクトラム解析と関連する組合せ遷移の研究も行った.以下,本研究に関係する結果の詳細を記載する. グラフがk-linkedであるための条件をグラフマイナーを用いた形で与えることに成功した.本研究成果は,既存のk-linkedに関するいくつかの結果を拡張させたものである.また,本研究課題の中心であるグラフマイナーとも深遠な関係にある研究内容である. このほかにもグラフが次数の高い2つのグラフに分解できるための次数条件に関する新たな結果を得た.グラフの分解に関する研究はグラフマイナーとも関りのある研究である. さらに,いくつかのcoloringに関する結果も得ている.例えば,重み付きグラフ上におけるordered coloringの結果,三角形分割におけるcoloringの遷移に関する結果,さらに,極大外平面グラフにおけるodd coloringの結果を得ている. 組み合せ遷移に関する結果としてはcoloringに関するもののほかに,arborescenceに関する結果や端点が指定されえた点素道に関する結果を得ている.組合せ遷移に関する結果は,本研究で考えているスペクトラム解析にも役立つものがあると考えており,今後の研究遂行に役立つと期待している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,極値グラフ理論的観点から完全多部グラフマイナーのスペクトラム解析を行う.完全多部グラフマイナーの解析の一つとして,本研究では,完全グラフからk本のマッチングを取り除いたグラフのマイナーとk-linkedというグラフの関係性を明らかにした.また,グラフのスペクトラム解析においては,特定のグラフの変形操作に対する知見が有用であり,これらに関しても組合せ遷移の研究でかなり知見が増えてきている状況である.さらに,グラフマイナーに関連して,現在はグラフイマージョンの研究も進めている.グラフイマージョンにおいても極値グラフ理論的観点からアプローチをしており,少しずつ成果が出てきているところである.例えば,8頂点の完全グラフから1本の辺を取り除いたグラフかロケットと呼ばれるグラフをイマージョンとして含むための最小次数条件について明らかにした.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展している考えている.
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今後の研究の推進方策 |
既存の研究の多くは,対象となるグラフマイナーを単体で解析するという手法がとられてきた.しかし,本研究では,いくつかのグラフ間のマイナー構造を解析するという手法を用いている.これに対して,今後は.本研究でこれまでに得られた組合せ遷移の知見などを利用して,完全多部グラフマイナー間のスペクトラム解析を進めていく.特に,完全多部グラフマイナーとマッチングを取り除く除去操作の関係性についての研究を進めていく. さらに,グラフイマージョンの存在性に関して,K_8から辺を一本除去したグラフかロケットと呼ばれるグラフをイマージョンに持つための最小次数条件についても本研究で明らかになったため,今後はこの研究を進展させ,イマージョンと極値グラフ理論の関係性を明らかにしていく. 本研究課題に関する成果を学術雑誌や学会,研究集会にて広く周知する.そこでほかの研究者と情報交換をし,議論をすることで本研究の進展を目指す.
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