研究課題/領域番号 |
22K13961
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
八木 文香 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 講師 (40823547)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統計的仮説検定 / 単調欠測データ / 尤度比検定 |
研究開始時の研究の概要 |
時間(または条件)を変え,多数の個体の特性を繰り返し測定して得られたデータを分析するモデルのひとつとして成長曲線モデルがある.このとき,得られたデータが単調(一度欠測するとその後も全て)欠測することがあり,その際の推定問題に関しては本研究代表者のこれまでの課題で一部の成果が得られているが,関連する未解決な問題がいくつか残されている.そのため本研究では単調欠測データに対して「成長曲線モデルにおける検定手法の開発及びモデル選択規準の導出」に取り組む.さらに「平均ベクトルや分散共分散行列に関する検定問題」についても関連する課題であるため併せて取り組み,単調欠測データにおける新たな検定手法を開発する.
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研究実績の概要 |
(i) 2-step単調欠測データの下での成長曲線モデルにおける平均構造の適合性検定と(ii) 単調欠測データの下での分散共分散行列のスフェリシティ検定について,いくつかの研究成果を得た. (i)については,成長曲線モデルで仮定する平均構造の特定化が適しているかどうかの検定についての議論である.1標本問題における2-step単調欠測データに対するT二乗型検定統計量を提案し,その帰無分布の近似上側パーセント点として,F分布を用いたものを提案した.2022年度は漸近展開により検定統計量の帰無仮説の下での期待値を導出することによって近似上側パーセント点を提案したが,2023年度は新たに分散も導出し,その結果を利用して近似上側パーセント点を提案した.いくつかのパラメータの下で,ある既知行列に対してモンテカルロ・シミュレーションを行い,提案した近似上側パーセント点の近似精度が良いことを示し,その研究成果を学会にて発表した. (ii)については,1標本問題の分散共分散行列の検定におけるスフェリシティ検定問題に対する尤度比検定統計量と修正尤度比検定統計量の帰無分布に対する漸近展開を導出し,これらの検定統計量の上側パーセント点の漸近展開も与えた.また,その結果を用いて近似上側パーセント点をいくつか提案した.モンテカルロ・シミュレーションを通して,いくつかのパラメータに対して提案した近似上側パーセント点に対するType I error について数値的評価を行い近似精度が良いことを示した.この研究成果を学会等で発表し,テクニカルレポートとしてまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記載の(i)については,計画通りに成果を得ることができた. (ii)については,予定した以上の研究成果が得られた.当初は2-step単調欠測データの場合の研究結果を得ることでさえ容易ではないと思われたが結果を得ることに成功し,さらにその結果を3-step単調欠測データの場合及び一般の単調欠測データの場合へと拡張することにも成功した.
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で記載の課題(i)については,理論の補強や更なるモンテカルロ・シミュレーションによる数値実験を行った上でテクニカルレポートとしてまとめる予定である.またこの結果を2標本問題へ拡張する.(ii)については,多標本問題へ拡張することを考える.
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