研究課題/領域番号 |
22K13969
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大森 寛太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20913883)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 一般化対称性 / 非可逆的対称性 / Symmetry TFT / 境界条件 / トポロジカル相 / ベリー位相 / 境界モード / 位相的場の量子論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、トポロジカル相におけるエネルギーギャップを持つ境界条件(ギャップ付き境界条件)の分類を研究する。 特に2+1次元において、分数量子ホール効果をはじめとする豊富なトポロジカル相が実験的及び理論的に知られているが、一般にはこれらの境界は任意に小さいエネルギーを持つ励起状態(エッジモード)を持つ。トポロジカル相がいつどのようなギャップ付き境界を持つかは重要な未解決問題であり、こを解決する。
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研究実績の概要 |
本年度に出版された本研究に関わる主要な業績は以下の2つです: 1.「Symmetry TFTs for Non-invertible Defects」:3+1次元場の量子論には新たな一般化対称性である非可逆的対称性が存在することが、研究代表者らが以前に指摘されていました。本研究では、その非可逆的対称性に付随する4+1次元位相的場の理論、すなわちSymmetry TFTとその境界の構成と性質について研究しました。Symmetry TFTはある種の高次元トポロジカル相であり、その境界条件は、3+1次元場の理論の非可逆的対称性のゲージ化と関連しているため、重要です。 2. 「Quantum Duality in Electromagnetism and the Fine-Structure Constant」:これは前年度に出版された「Noninvertible Chiral Symmetry and Exponential Hierarchies」を発展させたもので、トーラス状のキャビティにおける量子電磁気学における非可逆的対称性の作用について研究しました。量子電磁気学はトポロジカル相の理論ではありませんが、その境界条件と非可逆的対称性の作用についての研究は、これまでのトポロジカル相における境界条件についての研究から得られた考察が大変有用でした。 以上、本年度は一般化対称性の文脈で重要なトポロジカル相や他の系について、その境界条件を含めて考察する論文を出版するに至たりました。次年度はこれらをさらに発展させる研究を準備しています。特に、フェルミオン系における一般化対称性を記述するSymmetry TFTの一般論について執筆予定です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度報告において、3+1次元場の理論の非可逆的対称性を記述するのに有用な4+1次元トポロジカル相であるSymemtry TFTについての論文「3+1次元場の量子論には新たな一般化対称性である非可逆的対称性」を投稿中でしたが、今年度にプレプリント版からの改訂の上出版されました。また、「Quantum Duality in Electromagnetism and the Fine-Structure Constant」は場の理論とその(一般化)対称性における境界条件の重要性を際立たせる成果です。 また、現在進行中の研究として、フェルミオン系の一般化対称性に付随するSymmetry TFTの一般論を準備していますが、これはトポロジカル相の境界条件についてのさまざまな知識を駆使したものとなる予定です。 以上より、トポロジカル相における境界条件についての研究として、本研究は概ね順調に推移していると言えます。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」にあるように、フェルミオン系の一般化対称性に付随するSymmetry TFTの一般論についての論文を執筆準備中です。これはこれまでボソン系が中心であった一般化対称性のSymmetry TFTの研究をフェルミオン系に拡張する仕事で、あるCrane-Yetter理論と呼ばれる3+1次元トポロジカル相とその境界条件を考えることが本質的に重要です。これにより、フェルミオン系一般化対称性とその自発的破れを統一的に記述できるようになることが期待されます。また、2+1次元カイラルトポロジカル相を系統的に実現する格子模型を考案し、これについて数値計算を行う研究も準備中です。特に、こちらの研究の予備的な数値計算では、実際に予測される境界条件状のエッジモードが実現されていることがわかっています。このエッジモードのより詳しい性質についてより詳細に研究を行います。そのほか、前年度に引き続き、モノポールに関するCallan-Rubakov 効果の研究を行います。
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