研究課題/領域番号 |
22K13977
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
倉持 結 九州大学, 理学研究院, 助教 (90773169)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 量子情報 / 量子チャンネル / 量子測定 / 保存則 / リソース理論 / 非有界作用素 |
研究開始時の研究の概要 |
任意の量子操作(測定)は考えている量子系と環境系との相互作用(および環境系への測定)で数学的に常に書くことができるが、実際の実験系などでは「任意の環境系」を準備することは不可能である。そこで本研究では「制限のある場合に実現可能な量子操作の構造は何か」という問題を解明するために、(i)確率混合・結合という操作論的に自然な操作で閉じた量子操作の一般的な構造および(ii)具体的な物理系での実現可能な量子操作の集合を求めること、を目的とする。本研究は申請者がこれまで取り組んできた「量子測定理論」および「リソース理論」の発展型と考えられる理論研究であり、実験系への応用も期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度の研究では,前年度に得られた非有界保存量に対するWigner-Araki-Yanase(WAY)定理を,反復可能条件の場合に一般化すること,および定量的なトレードオフ関係に拡張することに取り組んだ.後者の内容については,ある一定の条件のもとでは有限次元と同様の関係が得られたが,一方で前者の内容とともに一般の場合は非有界作用素の取り扱いの難しさから満足行く結果は得られなかった. また,測定後のインストゥルメントのなす半群の特徴づけについても取り組んだ.この量子員ストゥルメントの半群は時間的に一様な量子連続測定過程の最も一般的な定式化であり,時間連続な量子制御などの記述にも現れるものである.そのためこのような測定の数学的に一般的な形式について理解することは量子制御などの基礎づけならびに応用にとって重要と考えている.この問題についてはもし古典的な情報の読み出しがない場合は,量子動力学的半群と呼ばれるものに一致し,その一般的な形はGorini-Kossakowski-Sudarshan-Lindblad(GKSL)マスター方程式として知られている.本研究ではこの一般化を目指すものであるが,無減少時間における古典的情報の読み出しによる系の時間発展の記述の難しさから現在のところ結果は得られていない. また,前年度に得られたWAY定理の一般化についていくつかの学会・研究会で発表し他の研究者と意見の交換を行った.また,前年度に投稿した同内容の論文がPhysical Review Letters誌に受理され,Fetured in Physicsに選ばれるなど一定の評価を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の成果は量子操作の物理的実装に関する研究テーマに属する.非有界作用素特有の困難および所属の変更などの時間的事情から本年度の研究は当初の予定からやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き非有界作用素特有の困難および研究計画にある時間について一様なインストゥルメントの特徴づけに取り組む予定である. これらに対しては,無限大や無限小をを直感的かつ厳密に扱うことが超準解析からのアプローチなどを考えている.
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