研究課題/領域番号 |
22K13987
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
佐々木 遼 国立研究開発法人理化学研究所, 量子コンピュータ研究センター, 訪問研究員 (70890276)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 量子変換器 / 表面弾性波 / 光共振器 / リング共振器 / 超伝導回路 / ハイブリッド量子系 / 量子情報 / 光変調器 / 音響導波路 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導体を利用する量子ビットは希釈冷凍機を用いた極低温環境しか動作せず,大規模量子コンピュータの実現のためには異なる冷凍機内の量子ビット間をつなぐネットワークの構築が必要となる.超伝導量子ビットの動作周波数であるマイクロ波は熱ノイズに弱く室温に取り出すことができないため,室温環境下でも量子状態を保持できる光信号へ変換する量子変換器が必要となる. 本研究ではマイクロ波と光の間に音波(フォノン)を仲介する変換器を開発する.変換器内で音波と光を微小領域に同時に閉じ込め両者を強く結合させることで,高効率変換を実現する.
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研究実績の概要 |
高効率な変換器を実現するためには,高いQ値を持ちながら音波と光が小さい領域で結合するような共振器の開発が必要となる.昨年度は以下のような課題について研究を行なった. (1)表面弾性波共振器の高Q値化と微小化:音波共振器として圧電薄膜を用いた表面弾性波共振器を作製し,100mK以下での測定を行ったところ室温環境下と比較してQ値の向上が観測された.この要因として電極の超伝導化による電気抵抗とフォノンーフォノン散乱由来のロスの抑制によるものであると明らかにした.また共振モードの微小化を達成するために光共振器のガウシアンビームを模倣した収束型の表面弾性波共振器を作製し実際にGHz領域の共振ピークを観測することに成功した. (2)光共振器の作製と評価:フォトニックリング共振器とフォトニッククリスタル共振器を音波共振器と結合可能な圧電薄膜上に作製し,その評価を行ったところリング共振器では10万オーダーのQ値が得られ,開発初期段階ながらも高い性能のデバイスが作ることができた.また光学系からチップへの光信号の導入には低温環境下での評価を見越してグレ-ティングカプラを採用し,その波長依存性などを調べた. (3)リング型フォノン共振器の作製と評価:表面弾性波共振器とは別の構造の音波共振器としてリング共振器の開発を行った.幅2um程度の導波路に基づく微小なリング共振機を作製し測定すると,2GHz程度のマイクロ波領域に共振器内を周回するモードの共振器ピークを観測することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は当初計画していた通り,各デバイスの基本的な特性評価を行うことができた. 光共振器と音波共振器のそれぞれのデバイスを独立に作製し,それぞれの測定のための実験系を構築して,特性評価までを行うことができた.希釈冷凍機内の低温環境下での音波共振器の測定や,光共振器の測定手法の確立を行い,基本的なデバイス評価手法を整えることができたため,デバイス作製の改善により集中することができるようになった. また光と強く結合させるための新しいの音波共振器の開発と評価を行うことができた.表面弾性波共振器は収束型の共振モードとの結合をコントロールする方法を明らかにし,微小共振器のデザインの方針と課題とを明らかにすることができた.リング型の共振器は共振ピークを観測することができ,高い性能を得るための課題を明らかにすることができた. これらの技術は本研究における基礎となるものであり,高効率な変換器実現のための具体的な課題を明らかにすることができた.これらの結果を組み合わせながら変換デバイスのデザインと測定,評価を行うことができるようになった.
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今後の研究の推進方策 |
音波共振器についてはこれまで明らかになった損失源を取り除きながら,圧電基板と圧電薄膜を用いた時のデバイス性能に与える違いを明らかにし,高Q値化と高周波化を目指してデバイス設計を進める.リング共振器については加工時の表面粗さが大きいため,これの改善を行う. 光共振器については作製回数と評価を重ねて作製プロセスを検討し直し,狙った波長共振モードを持つ,より高いQ値のものを作製する.デバイス作製時に生じる表面粗さを抑制するためにレジストの選択や化学機械研磨といった後処理を検討し,性能改善を行う. これらを組み合わせることで実際の変換器を作製して変換効率を評価しそれをデバイス設計にフィードバックさせることで改善を行う.音波共振器と光共振器の組み合わせを変えながらより高い変換効率を実現できるデバイス構造を研究する.
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