研究課題/領域番号 |
22K13990
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
木村 直樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (80846238)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 多価イオン / 超微細構造 / 超微細相互作用 / 極低温静電イオン蓄積リング / 準安定状態寿命 / 遷移確率 / 超微細誘起遷移 / 時間分解レーザー分光 / 準安定状態寿命測定 / 電子ビームイオントラップ / 疑似ゼーマンフリー分光 / プラズマアシストレーザー分光 / 静電型イオン蓄積 / 準安定状態 |
研究開始時の研究の概要 |
電子と原子核の間の磁気的相互作用に起因する『超微細(構造)誘起遷移』は、原子-原子核の異なる階層間を繋ぐ興味深い研究対象である。 基礎的な物理現象であるにもかかわらず、その遷移寿命の実験値と理論計算には有意な差があることが複数の研究で報告されており、その原因は現状不明である。 本研究では、外部摂動、特に磁場による影響を排除したクリーンな環境下で、多価イオンの準安定状態寿命を測定し、超微細(構造)相互作用を研究する。
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研究実績の概要 |
本課題では、孤立多価イオンの脱励起ダイナミクスの実験観測を通じて、電子と原子核の間に働く超微細相互作用を研究することを目指し、研究を進めた。 本実験研究の基幹装置は、理化学研究所の極低温静電型イオン蓄積リング(RIKEN Cryogenic electrostatic ion storage ring:RICE)である。本装置は、温度4ケルビンの電極に囲まれた磁場のない極高真空下(~ 10^-10 Pa)に、高速のイオンビームを長時間捕捉することが出来る。この特別な装置が提供する高レベルの孤立環境を利用して、超微細誘起遷移の研究を行うことが本課題の狙いである。実験のターゲットに設定した遷移は、Ne様多価イオンCl^7+の^1S_0 - ^3P_0である。2022-2023年度の2年間で、計2か月ほどのマシンタイムを確保し、以下の検討を行った。 まず、既存の電子サイクロトロン共鳴型(ECR)イオン源のマシンスタディを行い、ジクロロメタンガスからCl^7+イオンビームを1マイクロアンペアオーダーで生成する実験条件を見出した。次に、本イオンビームを精密に軌道を調整しながらRICEに導入し、約1秒の長時間蓄積に成功した。最後に、新しく導入した極端紫外光検出器を用いて、イオンビームからの発光の蓄積時間依存性を測定した。これらは、RICEで行われた初めての多価イオン実験である。 加えて、比較的弱い磁場で運転できる小型電子ビームイオントラップを用いた多価イオン分光実験を、関連研究として推進し、多くの成果を得た。例えば、高分解能可視分光器を用いた受動分光実験では、Ga様多価イオンNb10+の微細構造間遷移における超微細構造分裂を観測することに成功した。また、時間分解レーザー分光を用いる準安定状態寿命の新しい測定手法を開発・実証した。
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