研究課題/領域番号 |
22K13992
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
浦出 芳郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター, 研究員 (60804234)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ジョセフソンパラメトリック増幅器 / 超伝導量子ビット / 量子コンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
量子誤り訂正機能を実装した超伝導量子コンピュータを実現するためには、量子ビットの読み出し技術が重要となる。その鍵を握るのが、ジョセフソンパラメトリック増幅器(JPA)とよばれる、極低温環境下で動作する超低雑音の超伝導増幅器である。量子ビットを集積化していく上で、量子ビットだけでなくJPAの集積化も重要な課題となる。本研究では、そうした集積化に適したJPAとして、素子数を抑えつつ、十分な増幅特性を有するJPAの実現を目指す。具体的には、結合共振器列を用いて進行波型増幅器を模した増幅器を提案し、その特性を理論的に解析する。また、実際にデバイスを作製し、その動作を実証する。
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研究実績の概要 |
将来的に量子誤り訂正機能を実装した量子コンピュータを実現するためには、超伝導量子ビットの読み出し技術が重要となる。その鍵を握るのが、ジョセフソンパラメトリック増幅器(JPA)とよばれる、極低温環境で動作する低雑音の超伝導増幅器である。JPAは量子限界の低雑音で、微弱なマイクロ波信号を増幅することができる。将来的に量子ビットを集積していく上で、量子ビットだけでなくJPAの集積化も重要な課題となる。本研究では、そうした集積化に適したJPAとして、回路素子数を抑えつつ、量子ビットの周波数多重化読み出しに十分な増幅特性を有するJPAの実現を目指す。 2023年度は研究目標に向けて、以下のように研究を推進した: (1)デバイス作製プロセスの確立 2022年度に設計した従来型JPAの作製と極低温での評価を行った。試料の作製は産業技術総合研究所のQufabを利用して行った。作製した従来型JPAを希釈冷凍機で評価し、中心周波数10GHz付近において、利得15dB以上、帯域幅500MHz程度の特性が得られ、期待される動作を実証した。JPAの設計に必要となるジョセフソン接合やキャパシタといった基本素子の作製プロセスが確立されたと言え、今後の新デバイス作製に繋がる。 (2)新型JPAの設計・作製 従来型JPAと比べて大幅に回路のフットプリントを削減することが可能な新型JPAの設計と作製を行った。新型JPAは集中定数回路素子のみで実装することが可能であり、複数の共振器を結合することで、500MHz以上の広帯域性と省面積性を両立することが可能となり、超伝導量子ビットの集積化に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は[研究実績の概要]欄にも記載したように「(1)デバイス作製プロセスの確立」と「(2)新型JPAの設計・作製」を行った。(1)について、まず、特性のよく知れた従来型デバイスを作製することで、デバイス作製プロセスの検証を行った。従来型デバイスの動作を実証し、新しいデバイスを作製する環境が整った。(2)について、新型の小型JPAの設計・作製を完了することができた。本JPAは広帯域性と省面積性を両立することが可能と期待され、本研究課題の研究目的と合致する。従って「おおむね順調に進展している」という自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は以下のように研究を推進する計画である: (1)新型JPAの設計・作製・評価 2023年度に設計・作製した新型JPAを希釈冷凍機中の極低温下で評価する。実際に数百MHz程度の広帯域での増幅が可能であることを示す。評価結果を基に、設計や作製プロセスにフィードバックを行い、更なる高性能化を目指す。加えて、学会発表や論文発表による成果発信を目指す。 (2)デバイス作製プロセスの改善 2023年度までに、従来型のデバイスの動作実証を行うことで、増幅器デバイス作製プロセスを確立した。デバイスの基本的特性に問題は無いが、損失や歩留まりなど、改善し得る点が残されており、プロセスの改善を試みる。加えて、シミュレーションや理論計算により、超伝導電極の表面酸化膜が損失にどのように寄与するかを調査する。
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