研究課題/領域番号 |
22K13993
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 徹哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (70868059)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 熱輻射発電 / 太陽光発電 / 半導体 / 輻射再結合 / 非輻射再結合 / 狭ギャップ材料 / 環境発電 / pn接合 / ヘテロ接合 / 非発光再結合 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽電池を熱機関として捉えデバイス構成を工夫すると,高温の太陽電池から低温の夜空や宇宙への熱エネルギーの放出によって夜間にも太陽電池から電気エネルギーを得ることが理論上可能である.しかし,この熱発電(熱輻射発電)の理想的な系における理論限界値に対して実現値は大きくかけ離れており,その要因はまだ定量的に明らかになっていない.本研究では,エネルギー変換素子の研究開発で重要となる非理想的な系における発電特性を実験的に明らかにし,本発電素子の発電効率向上の指針となる理論モデルの構築に挑む.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,太陽電池素子と同様の構造を用いて,暗状態で熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱輻射発電技術に関するものである.熱輻射発電は,光エネルギーの代わりに熱エネルギーを入力とし,例えば地球の熱エネルギーを深宇宙に向けて放出することなどにより,夜間の発電が可能になる.本発電素子は太陽電池として昼間には光発電も可能であることから,昼夜に亘る電源として期待される. 2023年度は3カ年計画の2年目で,2022年度に確立した実験系を用いて,2つの材料を用いた熱輻射発電実験を実施した.1つ目はインジウムガリウムヒ素をベースとした発電素子である.近年,インジウムガリウムヒ素太陽電池の材料品質の向上や構造の最適化等により,インジウムガリウムヒ素が本来持っている発光特性が実現されつつある.そこで,素子は発光特性を意図的に変化させた2種を用意し,その影響について調べた.素子の周辺環境を70K以下にし外部からの輻射入力を無視できるほど小さくした状態で,素子温度を300Kから400Kまで変化させ,輻射発電特性の比較をした.2つ目は,発光効率以外のパラメータの影響を調べるため,インジウムガリウムヒ素とバンドギャップが近いガリウムアンチモンをベースとした発電素子の特性評価を行った. 更に,上記の実験結果と理論モデルの比較を行い,非理想的な系における熱輻射発電特性を定性的・定量的に解析した.定性的には実験結果と理論モデルは合致しているものの,定量には一部合致していない箇所があり,この点は2024年度に追加実験を行い事象の解明を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り,インジウムガリウムヒ素をベースとする発電素子の実験を実施し,その発電特性が得られている.理論モデルとの比較のため追加の実験を要するが,計画には支障のない範囲と判断している.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2023年度の結果を受けた追加実験を計画している.実験結果から,非発光再結合・オージェ再結合・吸収率・表面光学特性等が熱輻射発電特性に及ぼす影響を定量化する.また,得られた結果から熱輻射発電に特化した実用的なデバイス構造を提案し,実証する(当初の研究計画から変更はない).
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