研究課題/領域番号 |
22K14004
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅場 智也 京都大学, 理学研究科, 特定准教授 (90909417)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 超伝導 / 重い電子系 / トンネル走査顕微鏡 / 重い電子 / 薄膜 / STM |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル超伝導体において創発されるマヨラナ準粒子は、その非可換エニオンという新奇の統計性を示す粒子の元となる粒子として基礎物理学の立場から興味が持たれているだけでなく、トポロジカル量子計算という誤り耐性の高い量子計算を可能にする粒子として、近年世界中で注目され活発に研究されている。本研究では極低温走査型トンネル顕微鏡によりCeCoIn5原子層膜に対しその場観察を行い、純粋な2次元のCeCoIn5でも重い電子の形成が起こり、超伝導に転移するかを検証し、さらに異方的超伝導体を用いた世界初のマヨラナ準粒子創発の決定的証拠を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
トポロジカル超伝導体において創発されるマヨラナ準粒子は、その非可換エニオンという新奇の統計性を示す粒子の元となる粒子として基礎物理学の立場から興味が持たれているだけでなく、トポロジカル量子計算という誤り耐性の高い量子計算を可能にする粒子として、近年世界中で注目され活発に研究されている。本研究では極低温走査型トンネル顕微鏡によりCeCoIn5原子層膜に対しその場観察を行い、純粋な2次元のCeCoIn5でも重い電子の形成が起こり、超伝導に転移するかを検証し、さらに異方的超伝導体を用いた世界初のマヨラナ準粒子創発の決定的証拠を得ることを目指す。
第二年度はCeCoIn5原子層膜のSTMスペクトル観察の詳細を解明することに注力した。初年度の研究で探究したように、MgF2基板の上に20nm程度のYbCoIn5をバッファー層として成長させ、その上に薄膜CeCoIn5をエピタキシャル成長させ、磁場を印加した上で試料の表面をSTM装置で観測した。その結果、超伝導ギャップは磁場に対して非常にロバストであり、パウリ限界をはるかに超える上部臨界磁場を持つことがわかった。これらの結果は、この系ではBEC-BCSクロスオーバーと呼ばれる特異な現象が生じている可能性を示唆している。これらの結果は、学術誌
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第二年度は、CeCoIn5原子層膜の磁場中での詳細なSTMスペクトル観察を行った。その結果、超伝導ギャップは超伝導転移温度から予期される上部臨界磁場に比べて遥かに磁場に対してロバストであり、パウリ限界を大幅に超える上部臨界磁場を持つことがわかった。これらの結果は、この系ではBEC-BCSクロスオーバーと呼ばれる特異な現象が生じている可能性を示唆しており、当初の予定以上に興味深い物理現象を探索できているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
この系において、二つの重要な課題が挙げられる。一つは、マヨラナ準粒子の証拠の探索である。理論的には、薄膜と基板の[110]方向の境界線上にマヨラナ準粒子のゼロバイアスモードが励起され、さらに磁場の印加によりこのピークが3本に分裂することが予測されている。しかし、このような信号を観測するためには極低温におけるSTM測定が必要であり、今後の課題である。もう一つは、この系で実現していると考えられる、BCS-BECクロスオーバーの詳細な探究である。こちらは、輸送現象測定と組み合わせるなどの方法が考えられる。
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