研究課題/領域番号 |
22K14005
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
山田 昌彦 学習院大学, 理学部, 研究員 (10880289)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SU(N) / 量子スピン液体 / 量子スピン軌道液体 / 密度行列くりこみ群 |
研究開始時の研究の概要 |
フラストレーションのある量子スピン系においてトポロジカル相を実現することは、物性物理学における長年の課題の一つである。二次元系におけるトポロジカル相は局所的な摂動に対して安定な基底状態の縮退によって特徴付けられ、誤り耐性量子計算への応用が期待されている。近年様々な系において実現が提案されているSU(N)ハイゼンベルク模型でトポロジカル相を実現することは現実の物理系への応用上で非常に重要であり、新しいメカニズムによる超伝導や誤り耐性量子計算の実現への可能性を切り開く。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はSU(N)ハイゼンベルク模型の相図を解明することであるが、手始めにハニカム格子上のSU(4)ハイゼンベルク模型の基底状態の解明に取り組んでいる。手法としては2次元の密度行列くりこみ群(DMRG)を用い、基底状態がZ4スピン液体である可能性を新たに提案した。この模型はα-ZrCl3などの物質で現実に実現する可能性があるため重要である。 我々は今回新たに、SU(N)対称性をフルに用いたDMRGを開発し、有効的なボンド次元が100万を超える大規模数値計算によりハニカム格子上のSU(4)ハイゼンベルク模型の基底状態を調べた。この手法により、基底状態の波動関数、対称性、エンタングルメントの構造を調べ、基底状態が今まで予想されていなかったZ4スピン液体であることを明らかにした。実際、トポロジカルエンタングルメントエントロピーはlog 4であり、Z4スピン液体の予言と一致する。これはトポロジカルに縮退した基底状態を持つギャップトスピン液体である。 研究は国際学会の招待講演を含む様々な機会で発表されたが、論文の執筆は難航している。結論の異なる別グループの論文などが公開されたため現在その対応に追われており、その対応が終了次第論文として成果を投稿予定である。 また、SU(4)以外の場合について、現在のDMRGのアルゴリズムを一般のNに拡張する研究も続けている。Nが増えるに従い計算量は極端に増加する。今後は他のNへの展開も含めて多面的に研究を展開し、様々なSU(N)ハイゼンベルク模型の相図を解明する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SU(4)の研究は国際学会の招待講演を含む様々な機会で発表されて一定の完成を見せているにもかかわらず、論文の執筆は難航している。結論の異なる別グループの論文などが公開されたため現在その対応に追われており、その対応が終了次第論文として成果を投稿予定である。論文がまだ投稿できる状況にないことが問題である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、SU(4)の研究について論文投稿を可能にするために、残された課題の検討を行う。残された課題とはシリンダー上のSU(4)ハイゼンベルク模型についてフラックスインサーションと呼ばれるテクニックを用い、縮退基底状態の性質を直接調べることである。これができればトポロジカルに縮退した基底状態の確固たる証拠となり今までの結果よりさらに意義深い。 また、一般のSU(N)への拡張についても計算力の増強など、並行して進め様々なSU(N)ハイゼンベルク模型の性質を明らかにする。
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