研究課題/領域番号 |
22K14020
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14010:プラズマ科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
諌山 翔伍 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (30875159)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 中性粒子枯渇過程の解明 / 密度振動周期の同定 / ヘリコンプラズマ / 中性粒子密度枯渇 / プラズマ密度限界 / 3流体数値シミュレーション / 電気推進 |
研究開始時の研究の概要 |
高パワー・高密度な高周波プラズマ源において、イオン化の種となる中性粒子が枯渇しプラズマ密度が低下する「中性粒子枯渇」が問題となっている。中性粒子枯渇は高周波プラズマ源の密度限界を決める要因の一つとして考えられているだけでなく、プラズマの安定性に悪影響を及ぼすため、応用面においてはこの問題を克服することが課題となっている。本研究では3 流体(中性ガス、電子、イオン)数値計算によってプラズマ圧と中性ガス圧の時空間発展を解明し、中性粒子枯渇を克服するための効果的な中性粒子供給システムを開発する。
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研究実績の概要 |
中性粒子枯渇現象の基本的な特性を理解するため、空間1次元(円柱座標における半径方向)の3流体(電子流体・イオン流体・中性流体)モデルによるヘリコンプラズマ生成過程の数値計算を行った。具体的にはアンテナに印加する電流の値を変化させ、中性流体の運動がプラズマ生成に及ぼす影響について調査した。アンテナ電流が低い場合は円柱中心(r~0)でプラズマ密度(N_p)が10^19 m^-3程度、電子温度が3eV程度のピークをもつ定常状態となる。この時、中性流体の密度(N_n)は定常状態において円柱中心で低い分布となり、プラズマと中性流体の間で圧力バランスが保たれる。一方で、アンテナ電流が高い場合はプラズマ密度が円柱中心で3×10^19 m^-3程度、電子温度が7eV程度となり、プラズマ圧力の増大に伴って、中性流体の中心密度が急激に枯渇し、(N_p >>N_n)となる領域が現れる。この時はプラズマと中性流体の圧力バランスが保てなくなり、プラズマ密度、中性流体密度の分布が振動を引き起こす。この密度振動の振動周期は中性ガスの音速がシステム長を伝搬する時間と一致することを確認した。また、低いアンテナ電流印加時の低密度領域(10^17 m^3)では、磁化プラズマ中を伝搬する静電波(Trivelpiece-Gould波)成分とアンテナ電圧に起因する静電カップリング(capasitive coupling)成分との合成成分がプラズマ生成に寄与していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、1次元モデルを用いた計算により、深刻な中性粒子の枯渇が引き起こす密度振動とその振動周期を同定した。さらに、低密度プラズマの生成における静電波成分の重要性を明らかにした。現在、これらの研究成果に基づいて論文を執筆中である。ただし、プロジェクトの当初の目標であった2次元モデルを用いた中性粒子の枯渇過程の詳細な解明には、予定よりも遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
中性粒子の枯渇が引き起こす密度振動の周期性に関しては、ガス種やシステム長への依存性を調査する。今後は、、r-z方向2次元モデルにより、軸方向の中性流体密度枯渇過程を明らかにする。またr-θ方向2次元モデルにより、密度勾配が引き起こすドリフト波の励起を取り入れ、密度勾配に起因するドリフト波の励起を取り入れ、ドリフト波乱流がプラズマ輸送・生成に及ぼす影響を明らかにする。これらの数値計算結果を基に、高入力パワー印加時に中性粒子枯渇が引き起こす密度振動を観測する実験提案を行う。将来的には、中性粒子枯渇を改善するためのガス注入方法を検討し、ヘリコンプラズマのさらなる高密度化を目指す実験を進める予定である。
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