研究課題/領域番号 |
22K14026
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
井上 静雄 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂研究所 先進プラズマ研究部, 主任研究員 (80757956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 核融合プラズマ / 制御 / プラズマ平衡制御 |
研究開始時の研究の概要 |
今後の核融合プラズマ研究で、従来型の装置と大きく異なる点は高性能なプラズマを長時間維持する事が求められる点である。本研究では1ショットでプラズマの崩壊を回避しながら様々なプラズマの性質をオンラインで学習し最適な放電計画に獲得する、適応制御手法の開発を目指す。特に、プラズマ高性能化を阻む不安定性:抵抗性壁モードに対し、新たなモード再構築手法とそれに必要な高速の渦電流計算手法を開発し、不安定性をオンラインで学習しながら制御・回避する、適応制御手法を開発する。
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研究実績の概要 |
トカマク型の磁場閉じ込め配位では燃料となるプラズマをコイルとプラズマ双方が作る磁場によって磁力線のカゴを形成し閉じ込める。閉じ込め性能を表す指標の一つに、磁気エネルギーに対する燃料プラズマ圧力の比、ベータ値がある。高いベータ値は、コイルが作る磁場で燃料プラズマを効率よく加熱・閉じ込めできた事を示し、核融合炉の経済性に直結する指標である。つまり核融合発電を目指す上で高ベータなプラズマが求められるが、これを阻む不安定性の中で主要なものに抵抗性壁モードがある。トカマクプラズマは金属壁において囲まれている。この金属壁が抵抗0の理想導体であれば抵抗性壁モードを生じないが、現実には有限の抵抗を有する為、プラズマの磁気エネルギーや熱エネルギーを自由エネルギーとして固有モードの形で不安定性が発現する。三次元的に複雑な導体構造物が不安定性の成長率に寄与する事から理論/シミュレーションによる予測は困難で、従来の装置では多数の実験により様々なプラズマパラメーターをスキャンし、不安定な領域を特定し運転を行っていた。 令和4年度は抵抗性壁モードのオンライン学習・リアルタイム制御に向けて、導体壁に三次元的に流れる渦電流の計算コードの開発を進めた。また、軸対象な抵抗性壁モードである垂直位置不安定性の機械学習を用いた予測手法を開発した。成果はNuclear Fusion誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三次元的に流れる渦電流の計算コードの開発については市販コードANSYSとの対比や、二次元軸対象な仮定の下渦電流の時間発展を解けるMECSコードとの対比を進め、結果が一致することを確認した。また、抵抗性壁モードの一種である垂直位置不安定性の予測についても、プラズマ制御コントローラーの裕度を評価しながら予測することで予測精度を飛躍的に高めることができることを着想し、Nuclear Fusion誌に発表した。以上のように、本研究の核となる渦電流計算コードの開発が進んでいること、さらに物理的な方面:垂直位置不安定性の予測・制御に関しても当初の想定を超えた発見があったことから、順調に進呈していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度開発した三次元渦電流計算コードの高速化や高度化を進める。現時点では壁とプラズマとの自己無頓着な相互作用において、プラズマ側は二次元のフィラメント電流を仮定しているため、モード構造の観点では二次元的なモードしか取り扱うことができない。令和5年度はこれを三次元モードを取り扱い可能になるように拡張する。また、令和4年度開発した垂直位置不安定性の予測・制御に関しても、オンライン学習の知見を以下し、能動的に振動を励起しながら不安定性を予測する新アイデアにより更なる予測精度向上を目指す。
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